裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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ドラマよりもドキュメンタリー 裁判傍聴ブログへようこそ!
ここで取り扱う公判は、マスコミなどに取り上げられることがない見過ごしてしまわれている
何ということのない事件ばかりを集めた傍聴ブログです。

しかし、裁判の中でしか見ることができない人間ドラマは、まさにドキュメンタリーさながらです。
気軽にお立ち寄りくださいませ。

裁判傍聴 ブログ

ボクは的中率100%の予想屋さん(追い込むゴリ検編)

不当競争防止法違反で起訴されている悪人面被告と社交辞令弁護士との連携が光る裁判の続編。

シラを切りとおす被告らの連携プレーを阻止すべく、ゴリ検が立ち上がった。

今後の立証計画を読み始める。

 

今回の起訴内容を裏付ける物証として、
捜査関係書類から被告の履歴書、被告の署名、捺印入りの社内機密事項保持の誓約書、
違反した際の損害賠償請求になり得ることの誓約書、
店長、副店長を立会人として実証見聞した内部設定情報(設定1~6まで)の手順、
Aらが所持していた会員カード(いつどの台を打っていたかという情報を知るため)と
それに対応したモードチェックシート。
B店のシフト情報(H24年1月と2月分)と被告の電子メールでの送受信履歴。
不一致のある箇所もあったがそれは上書きされており、データが消えていることの証明と、
被告の銀行の取引状況(H21年8月~A、H23年8月~Bらから)入金があったこと、
被告の携帯電話に受信した内容(どのようなパチスロ台を打って、
いくら儲かったかが書かれたものなど)の状況をまとめたもの

次に関係者らからの供述内容として、
店長の供述。被告がH23年12月28日よりB店に副主任として出向になり、
内部設定を店長が記入したモードチェックシートに基づいて、
パチスロ台の設定を店長らと半分ずつ変更していたこと、
特定のAがいつも北○の拳を打ち、いつもこのパチスロ台に集まっていたこと、
Aらは度々トラブルを起こしており、またいつも第6設定の台ばかりを打っているので、
何かおかしいとは思っていたが、まさか被告が情報を漏らしているとは予想をしていなかったこと、

H24年2月に元々第6設定としていた台を急遽第1設定にしたところ、
Aは第1設定のところの台をずっと打っていたので、
呼び出して問い詰めたところ犯行を認めたことなどが記されている。

他にも台の設定は店長と副店長、被告らで行っていたが、台の設定中にメモは禁止と言っていたが、
被告が小さな付箋に何か書いていたのを見かけたことがあること、
台の管理はPC管理しており、会社にとっては重要な情報であること、
またA店MGの供述より、モードチェックシートの内容は誰にも漏れないようにしていることを確認した。

Aの供述より、被告から毎日設定が変わるので、有利な設定がどの台であるかの情報を貰っていたこと、
そのお礼として金銭を支払っていたこと、
台番号の情報しか聞いていなかったので「まさか情報が第6設定であるとは知らなかった、
高設定の台であるとだけ分かっていた」と供述していること、

また、たまにバレないようにダミーの台を打つよう指示をされそれに従い打っていたこと、
勝てるパチスロ台を教えて貰っていたこと、そして実証見聞でどのような手順で
やっていたかを記したものを書証として提出した。

万事休す・・・と思いきや、それでも、
「Aらに教えていた情報は第6設定という明確な情報ではなく、
長年の自分の経験を生かし、自分で予測したものを基にした情報を提供したものであり、
今回起訴される理由はない」と主張、往生際の悪さは半端ない。

ただ全面対決を決め込んでいるゴリ検は、次回以降の公判で、
①先ほど示した抽選確率の機密性についての立証(社交辞令弁護士は営業秘密事項ではないと主張)
②証人尋問として、B店店長ほか数人が出廷予定、
③管理体制上の立証と通常、予測は無理であることを裏付ける書面を提出する予定だ。

◆   ◆   ◆

認めた方がいいのではないのか、悪人面。
仮にモードチェックシートの内容を漏らしていないとしても、
特定の顧客に対して、仮に自分の勘でも情報を提供することは、
やはり同法に触れるのではないだろうか。

不正競争防止法違反が認められると、差し止め請求と損害賠償が請求できる。
損害賠償の金額が多額に及ぶはずなので、被告は何とか回避したいのだろうが・・・。
いずれにしても被告の未来は非常に厳しいようだ。

(了)

ボクは的中率100%の予想屋さん(証拠調べ編)

不当競争防止法違反で起訴されている悪人面被告と社交辞令弁護士との連携が光る裁判の続編。

前回の裁判を傍聴していると明らかに被告が白を切っているように感じられたが・・・。
そして裁判は証拠調べに入っていく。ゴリ検からの冒頭陳述を聞いてみよう。

 

<身上・経歴>
被告は、高校を卒業後に職を転々とし、
H14年7月~A社へ入社。今回の事件で解雇となって現在はアルバイト勤務中である。
被告には離婚歴があり、子どもはあるが現在は単身で暮らしている。前科前歴はなし。
H14年7月よりA社に入社し、A社で稼働していたが、
新店としてB店を出店することとなり、同12月よりA社からB社に異動、
その際に被告は副主任となった。

<事件の経緯>
スロット機は絵柄を揃えるものであるが、出玉は予め店側が設定できる。
第1設定と呼ばれるものが最も出玉確率が低く、逆に第6設定が高いとされている。
各台の設定を決めるのは店長であり、集客数などと照らして管理し、
これをモードチェックシートと呼ばれる紙に書き写し、各台の出玉率を設定しているとのこと。
なおパチスロ台の設定を変更する際にはパスワードが必要であり、
同店でそのパスワードを知っているのは店長と副店長、主任、そして副主任である被告だけであった。

モードチェックシートは店長が毎日手書きで書いており、
毎日上記4名が、モードチャックシートに書かれた設定をもとしにて、手分けして各台設定する。
当然モードチェックシートの情報は洩れたら店の経営が成りたなくなる虞のある重要な情報であるため、
店長がカギを掛けて保管しており、使用後はシュレッダーをかけている。

被告は、職務上モードチェックシートの情報に触れるため、
予めこの業務に従事する前に「他のスタッフに漏らしてはいけない旨」
が記載された誓約書に署名・捺印をしている。

今回の事件で被告は、顧客を装ったAらに予め高設定の台番号をメールで知らせ、
その見返りとして、被告の口座に数万~十数万円単位で振り込ませていた。
Aをはじめ打ち子らも被告から得た情報を基にして数千~十数万円を稼いでいた。

やがて被告は主任となり、Aら打ち子に対してこのようなメールを送信している。
「前よりも濃い情報を知ることができるようになった」
そして、Aらの儲け約3割を見返りとして要求するようになったとのこと。

ただ店長も馬鹿ではなかった。
いつもAらが第6設定の台ばかりに座っていることを不審に感じはじめ、
調べたところ今回の事件が発覚したのだった。

ここまで分かっていると言い逃れはできない、と感じるのはUNICOの甘さであろう。
言い逃れをする悪人面被告を追いつめるために、ゴリ検は最善を尽くすのだった。

 

 

ボクは的中率100%の予想屋さん(追い込むゴリ検編)へ続く

ボクは的中率100%の予想屋さん(事件の概要編)

見るからに怪しさ満点の被告が起こした「不当競争防止法違反」の裁判の続編。

まずはゴリ検からの起訴状の朗読だ。
被告は、パチンコ店で副主任として稼働していた。
副主任の職務として、閉店後翌日の抽選確率を設定する業務」があり、それに携わっていた。
被告は、抽選確率等設の定情報は機密事項として守る職責があった。
にもかかわらず、Aらに対して報酬目的で設定情報を漏えい、
第6設定の台をAに伝えたというもの。

なお情報の漏えいには携帯電話を使用しており、被告の携帯から送信履歴も見つかっている。
余罪もあるとのこと。

 

なるほど・・・なかなか悪どい手口だ。携帯から物証が見つかっていることからも
被告はすんなりと認めるかと思いきや・・・社交辞令弁護士が話しはじめる。

「罪名は不当競争防止法違反で構いませんが、どのようなものが営業秘密にあたるかどうかを焦点にして争います。

まずは予め意見書を準備してきましたので、これから被告が読み上げます」

これはまさかの展開であった。社交辞令、やるじゃないか。
そして悪人面した被告は、意見書を読み上げる。

「①店舗A→店舗Bへ異動したこと、そして店舗Bで副主任として稼働していたことは認めます。

また同店で店長の指示の下、パチスロ機各台の設定条件を変えていたことは認めます」

「②ただ私の職責では社内機密事項を守る義務はないと考えます。というのも私は情報を管理する任務ではなかったためです。

ただ、それを以て店舗Bの設定条件を第三者には漏えいはしていません。
そのため第6設定の台の情報をAらには漏らしていません。
Aに送信した第6設定の台番号は、これまでの経験によるもので、
その経験から得た情報を伝えることがAらにとって有利になるかと思い、情報提供をしただけです」

「お前は政治家か」と野次りたくなるほど潔ぎの悪い、何とも白々しい申し開きである。

この白々しい言い訳に対して、

「被告の意見に同意、無罪を主張します。
①事実は認めるが管理責任はなかったと考えている。
②起訴状に秘密漏えいとあるが、提供した情報は異なった情報源で、
また被告独自に編み出したものをAらに教えただけであり、
機密事項の漏えいには該当しないと主張」

社交辞令、なかなかの強心臓の持ち主のようだ。

 

 

ボクは的中率100%の予想屋さん(証拠調べ編)へ続く