裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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業務上横領

人のモノもわたしのモノ(業務上横領)

業務上横領というあまり聞きなれない罪名を見たので法廷に入った。
何となく分かっているようで、よく分からない罪名であったため、
WIKIで調べてみた。

*** 業務上横領とは、***

業務上占有する他人の物を横領すると、業務上横領罪が成立する(刑法253条)。
占有が業務であることで、刑が加重される身分犯であり(不真正身分犯)、
基本犯である単純横領罪が真正身分犯であることから、
真正身分犯・不真正身分犯両方の性質を有する複合的身分犯である。
法定刑は10年以下の懲役である。
要は、自分の立場を悪用して横領した場合は重くなるというところだろうか。

こんな罪に問われるからには、これぞ知能犯といった被告の顔を想像する。
すると、法廷に現れた被告は・・・、
どこにでも居る主婦、どこにでも居る玉ねぎおばちゃんだった。
・・・世の中は本当によく分からないものだ。
* * *
ハキハキと話すミス・ジャポネーゼといった裁判長が一礼をして開廷となった。
たまねぎが宣誓を済ませ、爽やか営業マンタイプの検察から起訴状の朗読がはじまる。

起訴状によると、
平成8年に被告の叔父が交通事故に遭って脳挫傷の負傷を負ってしまった。
それと同時に財産管理能力も失ってしまった。
その後、家庭裁判所の判決を受けて、被告の実母が成年後見人に選定された。
そして被告は、高齢の実母に代わり、成年後見事務を担うこととなる。
すなわち叔父の通帳、キャッシュカード、印鑑を被告が預かるようになったのだ。

当初被告は入院費の支払いなど真面目に成年後見事務をこなしていたが、
叔父の口座に5000万円の保険金が振り込まれたことで、
被告の中に棲んでいた悪魔が囁き始めた。
「少しくらいならばいいだろう、誰も気付きやしない、どうせバレない」
そして、そのお金に手を付けるようになった。

はじめに着手したのは、自動車の購入だった。
なかなか大胆なチョイスである。
早々に家裁調査人から指摘を受けることとなった。

それでも懲りないたまねぎ。
「少しくらいならばいいだろう、誰も気付きやしない、どうせバレない」
精神に則り、次はクレジットカードの支払いに充てることとなる。
その後はパチンコに嵌り、パチンコ代としてコツコツと使い続ける。
積もりに積もったその額は、家裁調査人の調べによると3000万円にも上るらしい。
実母はこのことに全く気付いていなかったとのことだった。

朗読中、たまねぎは顔色ひとつ変えずに、しれーっとした表情で聞いている。
本当に恐ろしい玉ねぎである。

しかし、この法廷はここまでで閉廷となった。
というのも次回2/21(木)に、
情状証人として玉ねぎ(夫)が出廷するらしく、
その日に結審までを予定しているらしい。
* * *
人間の悲しい性とも思われる事件だ。
もし自分がこの立場だったら、きちんと管理できていただろうか。
まして、お金に困っていたら尚更であろう。
ただ、3000万円はやり過ぎだろうと思うが・・・。