裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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過去の大国「ニッポン」(後編)

過去の大国「ニッポン」(後編)

過去の大国「ニッポン」(後編)までのあらすじ

韓国からお金を稼ぐためにニッポンへの不法入国を果たした韓国顔の被告。
そんな被告を正すため、低音ボイスが魅力的な宝塚ボブ検事が堂々と被告の罪を読み上げる。
一方、被告の明日を庇護するため、コンパクト六法片手に駆け出しのたまご肌弁護士が、
執拗な被告人質問をはじめ、不法入国後の被告の暮らしぶりが徐々に明らかになっていく。

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>在留中は何をしましたか?
「はじめミナミの韓国クラブに5年程度、その後2年程度スナックでホステスをしました」
>売春はしましたか?
「絶対にありません」
>ホステスの後は何をしましたか?
「焼肉屋、中国料理、厨房での皿洗い、整骨院での清掃、検品などのアルバイトなど
いろいろとやりました」
>収入はいくら位になりましたか?
「検品は時給900円で9時~15時30分まで、清掃は時給850円で
16時30分~24時まで働いて、月20万円程度でした。
それでも身体の調子が悪くなり、働けない時期もあって、韓国からお金を送って貰ったこともありました」
これこそ本末転倒である。

>どこで生活をしていましたか?
「はじめは友人と3~4年暮らし、その後は一人暮らしです」
>誰名義で部屋を借りていましたか?
「はじめは友人名義で、その後はその友人の名義で借りていました」
>罪悪感はありましたか?
「どうしようもありませんでした」
>家賃の滞納はありましたか?
「ありませんでした」
>他に犯罪を犯しましたか?
「他のことはとても用心しながら過ごしてきた」
そう涙ぐみながら語る被告。確かにしんどい暮らしぶりである。
>反省はしていますか?
「とてもとても反省しています」
しかし、たまご肌は検察官にでもなったつもりなのか、ここで追及の手を緩めなかった。

>なぜ不法入国がいけないのか説明してください。
「その当時はそんなに深刻にとらえていませんでしたが、
今になって、犯罪行為に協力していたことに気付き、大変なことをしたと思っています」
>犯罪とは何ですか?
「身分証を渡して、お金は支払いませんでしたが、
もしお金を渡していたらそれも資金源になるということです」
若干論点がずれている気もするが、これもスルーパスを決め込むたまご肌。

>持病があるのですか?
「心臓が良くない、少し不安になると心臓がバクバクします。
それでも、ビザがなく病院には行けないので、いつも薬局で買った救心を飲んでいます」
・・・救心!?
>前に2度とやらないと言っていたのになぜやってしまったのですか?
「私が本当に悪かった、弁解の余地はありません」
>お金のために不法入国をしてもいいですか?
「だめです、もう2度としない、もう2度としません」
再び涙ぐむ被告。それでも未だ追及の手を緩めないたまご肌。
>自首はなぜしなかったのですか?
「何度も思いました・・・特にこの2年ほど前から何度も自首しようと思っていました」
>それでもなぜ自首をしなかったのですか?
「刑務所に行くのが怖かった・・・この10年間ずっと不安でした」
>なぜ2年前に自首を考えたのですか?
「身体の調子が悪くなり、病院に行くこともできなかったためです」
>今後はどうしますか?
「韓国に帰れるならば何でもやるつもりです。韓国ならばビザもありますし怯えて暮らすこともありません」
>韓国に帰ったあとに家はどうしますか?
「アメリカに居る姉が準備してくれることになっています。それまでは親戚の家に行くつもりです」
>お母さんはどうしましたか?
「今年の4月末に亡くなりました」
>遺産はありますか?
「あります」
>日本の方が魅力的ではないのですか?
「いいえ、ビザがないので短い時間しか働けませんし、
50歳を過ぎたので働くところもありません。韓国の方がマシです」
>またホステスに戻るつもりはありますか?
「年を取ってしまったのでもう誰も使ってくれません」
・・・ようやく終わった。

ようやくヅカ検事の出番だ。
>はじめは観光目的ですか?
「はい」
相変わらずの良い声である。
>決められていた滞在期間は?
「覚えていません」
>確か短い期間でしたね?
「3カ月・・・だったかと思います」
>悪いことをしているという意志はありましたか?
「ありました」
>それでどうしてしたのですか?
「今考えたら後悔でいっぱいです、浅い考えだったのだと思います」
>どんな考えですか?
「少しお金を稼いで韓国に帰らなきゃといったものです」
>強制送還前には拘束されましたか?
「はい、3日ほどの期間を確か入管だったと思います」
>3日はどうでしたか?
「当時もたくさん反省しましたが・・・」
>1か月後にはまた日本に来た?
「はい」
>他人のパスポートを使って?
「はい」
>反省の効果は1か月だけですか?
「言い訳のしようがありません」
>また日本に来たいですか?
「いいえ、本当にしんどかったです」

さすがヅカ検事、シンプルかつ的確な追い込みである。

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法廷はヅカ検事が懲役2年6か月を求刑し、
駆け出し弁護士が執行猶予を狙って、情状酌量を訴えるといったパタンで結審を迎えるのだった。

結局、判決までは見届けなかったが、
数十年前の韓国とニッポンとの経済格差であれば、当時のニッポンが被告にとって、
魅力的に映ったことは理解できる。
ただ現在の衰退しきった斜陽国であるニッポンで暮らすことには魅力を感じないでろう。
また被告の年齢も年齢であり、確かに水商売はできないであろう。
執行猶予をつけて、さっさと帰国して貰うのが得策であろう。節税にもなるしね・・・。

(了)

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