裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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急所をねらえ!(中編)

急所をねらえ!(中編)

そして、裁判は「柔道黒帯三段」といった感じの弁護人からの被告人質問へと続く。

「起訴状に間違いない?」
「はい」
「この日は朝から被害者が股間を抑えて蹲っていたの?」
「はい」

「それであなたは見せてくれと言ったのですか?」
「はい」
「それでどうだったの?」
「はい、股間が赤く腫れていました」
「それを見てどう思った?」
「ものすごく痛かったやろうなと思いました」
「どの程度の強さでやったの?」
「そんなに強くない・・・10だったら2-3程度の強さです」
それでも腫れる部位である。想像しただけで堪らない。

「破裂する可能性は考えなかった?」
「分かります」
「腫れたらどうなるか分かる?」
「子どもができなくなることがある」
「認識はありますか?」
「はい」
それならばあえてそこを狙わなくてもいいだろうが。

「被害者が朝の準備やそうじをちゃんとしていなくて、
その上に工場の班長の悪口を言っていたのを聞いたの?」
「はい」
「その人とあなたは知り合いだったの?」
「はい」
う~ん、身内びいきか。

「放っておくという方法もあったはず。そういった選択肢を考えなかったの?」
「はじめはそう思っていたのですが」
「最初から暴力を振るっていないよね?」
「はい、はじめは口で注意をしていました」
「それでも改善しなかった、それでも放っておくことはできたのになぜ?」
「社会に出てから被害者が苦労すると思いました。このままじゃいかんと思いました」
主観的な正義感は、時に暴力を振るう口実となる。

「途中でしつけるのは?」
「無理だと思った。その時点で出て行ってくれと言ったのですが、絶対に出て行くとは言わなかった」
「放っておくべきだったと思っている?社会にはいろいろな人が居て、
それをいちいち相手にしていたらこんなことになるということを教訓にしてほしい」
「はい、分かりました」
質問中に説教を織り交ぜるといった高等テクニックをさらりと組み込む黒帯。

「今後の仕事は?」
「自分が出来る所からやっていきたい」
「具体的にはどこで?」
「先輩のところでお世話になるつもりです」
「先輩を何をやっているの?」
「カー用品のリサイクル店です」
「そこで雇ってもらえる可能性は?」
「8割程度です」
「根拠は?」
「たまに手紙でやりとりをしています」
本当に8割なのだろうか。

「どこにあるの?」
「○○県です」
「先輩からの嘆願書は書いて貰えそう?」
「大阪に居ているならばお願いできるのですが・・・」
「今後社会に出ると自分より若いモノが居て、マナー面が悪い人も居る。
今後またしつける可能性はありますか?」
「今後は手を出さないようにします。ちゃんと言いきかせる努力をします」
自分が躾けるといった考え方を変えることは難しいのだろうか。

「チームワークが必要なことは分かる?」
「はい」
「今後もう二度とない?」
「はい」

これを聞いて、被告の正義マンっぷりを痛感した。
そして、また繰り返してしまう予感を覚えたのはUNICOだけだろうか。

 

急所をねらえ!(後編)へ続く

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