裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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ヤクザの花道(中編)

ヤクザの花道(中編)

暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕、起訴された被告。
ダイアン検事が読み上げた起訴状を聞く限り、
大した罪には問われないと思ったが・・・注目の被告人質問、まずはイグアナ弁護士から。

イグアナ弁護士は、この日の裁判に備えて書証を準備、
被告人直筆の反省文2通と内妻からの嘆願書である。
そのことを告げた後、被告人へ質問をぶつけていく。
+  +  +
「調書の内容は大凡そんなところですか?」
「大凡そうなっています」
「少し前に同じ場所でもめたの?」「はい」
「それはなぜ?」「自分が酒を飲んで絡んだだけです」
「今回事件を起こしたのは暴走族を追い散らそうとしただけ?」「はい」
「1週間くらい前から見回りをしていたの?」「違う、酒を飲んで、それで・・・」
冒頭陳述の内容とは話が食い違う。

「被害者に対しては?」
「道の真ん中を歩いていたので、クラクションを鳴らした」
「最後は避けたがあなたは車から降りたの?」
「はい、そして木の棒を持った」
「何に使うの?」
「グランドをならすトンボの先の折れたもの」
「何のために?」
「積んであったので、それで」
そんなものを普段から積むことはないだろうが。

「用途は?」
「掛かってこられたら叩くためです」
非常に潔い、やる気満々の回答である。

「被害者にはどのような言葉を掛けたのですか?」
「どこの奴や」と聞いたら「○○です」と答えたので「じゃぁ、いいよ」と言いました」
「それだけ・・・何でこうなったのか経緯を教えてください」
「男2人に声をかけたら女も居て、暗くて分からなかったが、
女を見ると知り合い・・・自分が行くカラオケ店の店員だった」
「その女性に対しては?」
「普通に話して、帽子が脱げそうになっていたのでかぶせてやって「送ろうか」と言いました」
「何で?」
「雨が降ってきたので、それで送りました」
「そうしたら被害者の男2人はあなたにさらわれたと思って、
110番通報をしたのですが・・・それだけですよね?」
「はい」
女性は嫌がっていたのだろうか、それとも怖がっていたのだろうか。

「警察で一連のことを話しましたか?」
「話しました」
「今回のことをどう思っている?」
「いろいろな人に対して迷惑を掛けたので・・・この時も酒を飲んでいたので今後は止めようと」
「被害者に手紙を書きましたか?」
「今後一切何もしませんと書きました」

「内妻に子どもが生まれましたね?」
「去年の7月に生まれました」
「どんな風に考えているの?」
「▲▲へ行ったりしながら支えていきたいと考えております」
「内妻から手紙は?」
「来ている」
「内妻に生活費は?」
「月に10万円程度送っている」
「今はどうしていますか?」
「送れていない」

「内妻が大変なことは分かっているよね?」
「はい」
「気持ちは分かっているよね?」
「はい」
「今後は?」
「何でもして・・・」
「仕事はどうするの?暴力団なら自由にできないよね・・・どんな風に考えている?」
「暴力団をやっているから雇ってくれるところもあるので」
「どんなところ?」
「どかたでも何でも」
「それで収入を得て仕送りをするの?」
「はい、約束します」
「確か前にも一度酒を止めると言っているが?」
「はい、今度こそ迷惑を掛けたのできっぱりとやめます」
「なかなか信用できないが?」
「できます」
+  +  +
こうしてイグアナ弁護士は質問を終えた。
今回のような明確に結果が残らない事件では判断が難しい。
決してヤクザの肩を持つ訳ではないが、
被告のようなヤクザをやっている人にとってこのようなザル法は、
状況証拠の積み重ねだけで、逮捕されることとなる。
恐ろしい・・・。

 

ヤクザの花道(後編)へ続く

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