裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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ノルマと恋心の間(判決編)

ノルマと恋心の間(判決編)

後日。
法廷には、昭和風情弁護士と共に、
丸坊主になった男爵男が法廷に姿を現した。
傍聴席には、前回証人として出廷していた証人の姿はなく、
無駄に広い傍聴席には、ノートを片手に持った
裁判傍聴マニアの姿がチラホラみられる程度であった。
まもなくミスジャポネが入廷し、開廷の時間を迎える。
+  +  +
主文、
被告人を懲役1年とする。
ただしその刑の執行を4年間猶予する。
今回の訴訟に要した費用のうち、国選弁護料は被告人の負担する。

以下、判決理由。
およそ4時間に亘り、被害者を拘束し、
被害者から「もう帰ります」と言うのを聞くと態度を一変し、
危害を加えかねない奇声を発し脅したことは、執拗かつ悪質な犯行である。
事件を起こした動機も歩合欲しさの犯行であり、自己中心的で酌量の余地はない。
また犯行態様も営業活動の一環ということであり、計画的、職業的である。

加えて、はじめは犯行を否認していたことなどもあり、
事件のことを反省しているとは言い難い面もあるが、
裁判がはじまると犯行を素直に認めていること、
過去には保護処分歴があり、規範意識がいくぶんか薄いところもあるが、
刑を終えたのちに顧問であり、また経営者である元同僚の母の職場で、
運送の仕事をすることもあり、十分に監督が期待できるものと鑑み、
今回に限り、社会内更正を選択した。
判決理由を述べたミスジャポネ裁判長は、
「これまでは疑問を持たずにやってきたんやね」
と男爵男に問いかける。
「はい」と屈託なく回答する被告の姿を見て、
一同がホッと安堵したことは言うまでもないだろう。
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確かに、強要未遂罪ということで、
それほど重い刑を要求することは難しい裁判ではあった。
しかし、まさに公務員的な検察官の割り切った進め方に対して、
昭和風情弁護士は、強烈なインパクトを与えることができる
証人を法廷へ呼びことに成功した辺りが効いているように感じた。
まさに昭和風情弁護士の戦略勝ちであろう。

 

(了)

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