裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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誘惑の炎(前編)

誘惑の炎(前編)

壊れかけのRADIOで有名な徳永英明を本格的に真似た
英明似の被告が今回の被告だ。
被告の年齢は、若い若いとちやほやされる年齢は過ぎ、
間もなく言い訳が通用しなくなるであろう28歳。

そんな若いようで、決して言い訳のし難い英明が、
今回起訴されたのは、刑法第261条の器物損壊罪。
他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役、
又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する、という罪だ。

英明はどんな事件を起こして、今回起訴されたのか。
佐古キャスター似検事の起訴状を聞いてみよう。
「20時40分過ぎ、某所に駐車中の原付の後部荷台にくくりつけていたビニールに火をつけ、
16,327円相当のバスケットを損壊したことによる」とのこと。

おいおい放火じゃないか・・・とUNICOは思ったが、
不思議なことに、今回の事件では被害者が被害届を出して成立する親告罪である
器物損壊として起訴されている。
言い換えると、被害者が被害届を出さなければこの裁判自体がなかったことになる。
・・・なぜとは思ったが、もう少し裁判を見守ろうではないか。
◇  ◇  ◇
検察の起訴状に対して、全面的に認める英明とまこっちゃん弁護士。
裁判は、そのまま証拠調べへと進んでいく。
まずは、検察の冒頭陳述だ。

高校卒業後、職を転々とした被告、現在は無職で住所不定となっている。
これまでに婚姻歴はない。
過去に占有物離脱物横領罪で2回逮捕されている。
現在被告は、アルコール依存の診断を受けており、
毎日20時位に散歩へ出かけている。

事件の前日、散歩に出かけた際に粗大ごみが燃えているのを見て、
それが頭から離れず、前日に見た火を「また見てみたい」と思い、今回の事件を起こしたとのことだ。

今回の事件を起こした時のことを逮捕後の供述で英明はこう話している。
「現場で燃えているのを見て、段々と事件の重大さに不安になった。
その時、火に気付いた管理人から消火するように消火器を手渡されて消火活動を行った」
ほんの軽い気持ちだったのか。

しかし英明はこの事件の2日後にも同様のことを繰り返す。
何日も放置されていた自転車の前かごの中のゴミにも火をつけたのだ・・・。

(今回の事件の被害者の証言=被害届を出した人)
「数年前に脳梗塞を患い、その後三輪の原付を使用している。
今回の事件で、大事に使っていた中敷きまで燃えて、非常に怒っています。
この日は、被害に遭う前に雨で濡れないようにかごにビニールで覆っていました」

(マンション管理人)
「火が上がっているのを見つけたので消火器を持っていった。
それで近くに居た人に消火を頼んだ。
マンションには防犯ビデオがあり、それを見ても結構火が上がっている状況が分かる」とのこと。

(消防士)
「鎮火後に到着したため、現場の状況は分からない」

(英明の祖母/祖母が話す被告の母の考え)
「自分が息子を(実質)女手ひとつで育ててきた。
被告は高校卒業まで一緒に住んでいた両親とは意見が合わなかった。
その後、被告を自立させようと何度もしたが、バイトへ行っても長続きせず、
家庭内暴力もあったが我慢してきた。結局現在被告は生活保護を受けている。
今後息子とは関わりたくないと思っている」とのこと。

そして複雑な家庭環境が浮かびあがってきた・・・。

 

誘惑の炎(中編)へ続く

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