裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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<現代版>青年よ、大志を抱け!(中編)

<現代版>青年よ、大志を抱け!(中編)

「10万円を資金するので口座を作ってそのキャッシュカードを譲ってほしい」
「作った通帳は被告が使用していい」とある人から言われ、
その言われるままに、フラフラとゆうちょ銀行へ行き、口座を作った教員志望の被告。

そんな被告の弁護の為、仏壇弁護士が準備した立証は、
書証として被告の反省文、情状証人として母を喚問。仏壇弁護士からの証人質問だ。

傍聴席から60歳くらいの母が証言台へ向かう。
被告の母は宣誓前から既に泣いている。悲痛な表情だ。

「被告との関係は?」「被告の母です」
「仕事は何をやっているのですか?」
「こどもに関わる仕事です」
よくあるパターンである。

「いつ今回の事件のことを知りましたか?」
「昨年11月です」
「どういった経緯で事件のことを知りましたか?」
「警察から電話があり、その時主人も一緒に居ました。
そして子どもが帰ってきたので、話を聞きました」
「話を聞いてどう思いましたか?」
「普段は何でも話してくれるので、何でこのことを話してくれなかったのかと思いました。
それも人に迷惑を掛けるようなことをして・・・信じられない・・・すごくショックです」
自分の都合の悪い話は隠す・・・この被告には教員の素質は十分のようだ。

「被告はこのような事件を起こしてしまった考えられる原因は何ですか?」
「会社を辞めた後、毎月の支払いもあり、親に迷惑を掛けてはいけないと思って、焦った結果かなぁと」
なるほど。焦りは人の正常な判断を鈍らせると言いたいのだろうか。

「今後どうしたらいいですか?」
「楽なことに騙されず、一所懸命に働いて、困ったら親に相談するようにしてほしい」
「今後は一緒に住みますか?」
「はい、一緒に住みます」
「監督は?」
「します」
仏壇弁護士は、なかなかシンプルで的を射た質問内容であった。

続く、吹石似検事からの証人質問。
「事件当時から同居をしていましたか?」「はい」
「被告がお金に困っていることを知っていましたか?」
「知らなかったです」
早くも証人の監督能力がないことを立証することに成功した吹石。巧者である。

「お金のやりくりはどうですか?」
「朝からと夜からとバイトをしていましたので・・・。
お金に困っているのは、学費、本代、携帯電話などや趣味をやっているが、
うまくやりくりはしていると思っていました」
「生活費はどうしていますか?」
「実家で持っています」
「その他は被告が使っているということですか?」「はい」
これで、被告の奔放さも立証できたわけだ。

「どうして今回やったのかを被告と話し合いましたか?」
「お金の支払いに困っていたらしく、お金が必要だったのだと思いました」
なぜか最後に自分の考えを織り交ぜて証言してしまう証人。
きちんと話し合いができていないことも立証できた訳だ。

「どういった内容を話しましたか?」
「嘘を吐くなと言いました。
育ててきた人の立場からすれば、困ったことは何で言ってくれなかったのかと言いました」
「今後のことは話し合いで決めていくのですか?」
「はい、話し合いながら決めていきたいと考えています」
「今後困っている時には援助をしますか?」
「はい」
「終わります」
この間も母は始終泣いている。
見ていると怒りと情けなさに打ち震えている様子が見てとることができた。

ただここまでの裁判を傍聴席から見ている限りでは、圧倒的に検察側が有利に見える。
何か秘策はあるのか、仏壇弁護士!!

 
<現代版>青年よ、大志を抱け!(中編2)へ続く

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