裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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pride(中編)

pride(中編)

落ちていた覚せい剤を拾って抽斗に隠し、
証拠隠滅と覚せい剤取締法違反で起訴された元警察官。
イカツイ体格にいかにも警察官といった厳格なその表情とは裏腹な
あまりにもスケールの小さい事件の概要が明らかとなる。
◇  ◇  ◇
ボソ検が期待を裏切らず、ボソボソと冒頭陳述をはじめた。
まずは被告の身上経歴から。
被告は19歳の時に入職し、以後巡査長、巡査部長と昇進を果たし、
退職時は警部補、機動隊警ら隊長時に懲戒処分を受けて即日依願退職した。

事件当時。
事前に無線が入り、警らを実施していた時に前から不審な男が歩いてきた。
その男を所持品検査で調べたところ所持金なし、覚せい剤も所持していなかったので、
人定質問をせずにそのまま解放した。

その後被告は「もしかして道中に捨てたのではないか」と思い、
不審人物が歩いてきた道を確認しに戻ると、
予想は的中、道には15×5cmの茶封筒を発見、
中には4×5cmの覚せい剤の入ったパックが見つかった。

人定質問をしておらず、身元も分からなかったため、
管轄警察署へ氏名不許者が所持した物として引き継ごうとした。
ここまでの行動は理解できる。
しかし、ここからの行動が被告は良くなかった。

被告は、管轄警察署へ引き継ぐ際に「人定質問をすらしていないのか」と咎められると考えた。
そして引き継ぎは、次の出勤時にしようと先延ばしにしてしまったのだ。
そのため、この日は覚せい剤を引き継ぎをせずに庁舎へ持ち帰り、
ひとまず自分の机の抽斗にしまったのだ。
この抽斗にしまった覚せい剤が次に陽の目を見たのは、
結局事件が発覚する当日であった。

事件当日。
被告は、普段覚せい剤の取り締まりをしていない別の課の警察官が、
覚せい剤の知識向上のため、アンプルを用いて簡易検査をやるという
情報を出先からキャッチする。
この時既に覚せい剤を発見してから、およそひと月半が経過しており、
管轄警察署へいよいよ引き継ぎができない時期となっており、
処分に困っていたところでのこの情報である。

これをチャンスと考えた被告。
別の課の警察官しか食堂に居ないことを確認したうえで、
被告は簡易検査の模擬練習を買って出る。
もちろん簡易検査では、本物の覚せい剤を使用することはない。
しかし被告は、簡易検査と称して、
自分の抽斗にしまってあった覚せい剤を処分したのだった。
そして残りの覚せい剤は、その勢いのまま喫煙所の灰皿代わりに使用していた
空缶の中で焼却処分したというものだった。
結局この行為がバレて、事件が発覚するというお粗末な結末を迎えたのだった。

「まさか本物とは思わなかった。
あの厳格な●●警部補がこのようなことをするとは・・・許されるならば仕事は続けて欲しい」
そう語るのは、食堂で「簡易検査」に同席した別の課の警察官の話。
「何とかすると言っていたのでとっくに引き継ぎをしたと思っていた」
と述べるのは、一緒に取締をしていた部下の話。

余りにも、お粗末すぎる理由で今回の事件を引き起こした被告。
これでは「さすが警察官」としか言いようがない。

 

 

pride(後編)に続く

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