裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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裁判傍聴ブログ

時に孤独は人を饒舌にする(被告人質問編)

窃盗を繰り返すイソクラゲ被告の裁判傍聴録の続き。

まずはキノコのこの子元気の子弁護士からの被告人質問。
「この手紙はあなたが書いたものですか?」
「はい」
「手紙はどのような気持ちで書きましたか?」
「大変申し訳ない気持ちです。
出所後にお世話になったのに・・・。
今回、分からないうちにこのような
事件を起こしてしまい・・・」
「分からないとは?」
「真っ白になってしまって・・・」

「足元にリュックが置いてあったのですね?」
「はい。自分はよその台で遊んでいて、出ている回数を見ている時に
荷物に気付いて・・・『置き忘れたのかな』と思って。
それで腹いせにやってしまったのかなぁと思います」

「盗みだとは分かっていましたか?」
「はい」
「お金を盗る目的ですか?」
「それはないです・・・負けてむしゃくしゃしていました」
「盗みだとは分かっているのですね?」
「はい、ただそうとしかない・・・未だに原因は分かりません」

「事件を起こす前、もう人生を諦めていた?」
「はい、生活保護を貰っていましたが、
もう居ても立ってもいられなくなりました・・・
孤立死になるのではないかと思い、自殺しようと思っていました」
「遺書は書いたの?」
「はい。それで東尋坊へ行って飛び降りようと思っていました。あそこならば死体もあがらないので」

「平成22年に仮出所した後、窃盗したことは?」
「ないです。生活保護を貰いながらパートにも行っていましたので」
「ずっと生きていこうと思っている?」
「孤独死がどうしても・・・死んだらリセットできるのではないかと。
孤独に堪えられませんでした・・・」

「今後は?」
「やはりなんべんも同じことを言っていますが、もう繰り返したくない。
子ども、孫にみとられて死んでいきたい」
「『重い刑にしないでください』と被害者も言って下さっていますが?」
「いや、犯した罪なのできっちりとやりたい。そして今度こそ前向きに生活したい」

それにしてもよく話す被告だ。
こうして何とも釈然としないまま弁護士からの被告人質問が終了する。

 
時に孤独は人を饒舌にする(結審編)へ続く

逆らえません、本能には(前編)

女性と男性とを問わず「切れる」大人たち。
その勇姿を目の当たりにしたものは、いつまでも脳裏から離れない。

法廷に現れた被告は、貧相な年配女性だった。
ただその貧相な見た目とは裏腹な事件を起こしていたようだ。
淡泊検事から読み上げられた起訴状の朗読で事件の概要が明らかとなる。

複数の容疑で起訴されている。
①平成25年2月過ぎにゴルフ場横のスパ内の
脱衣場において、ロッカー内に現金87円が入
った小銭入れを盗んだことによるもの。
②①の犯行時に居合わせた警察官が現行犯逮捕
をしようとしたところ、
A巡査46歳の左腕にかみつき加療10日の左
上腕人工創傷を負わせた。
またB巡査29歳の左腕にかみつき加療10日
の左上腕人工創傷を負わせたというものだった。

恐ろしくスケールの小さい事件である。
しかし、僅か87円が入った小銭入れを盗んだ現場を警官2名に抑えられ、
抵抗を試みた被告は、刑法第235条の窃盗罪、刑法第95条1項の公務執行妨害、
そして、刑法第204条の傷害罪で起訴されることとなった。

しかし、今回の被告は意気込みが違った。
淡泊検事が早口で起訴状をまくし上げた内容に対して、争う構えを見せたのだ。

 

 

逆らえません、本能には(後編)へ続く