裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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不祥事 警官

pride(後編)

落ちていた覚せい剤を拾って抽斗に隠し、
証拠隠滅と覚せい剤取締法違反で起訴された元警察官。
イカツイ体格にいかにも警察官といった厳格なその表情とは裏腹な
あまりにもスケールの小さい事件の概要が前回明らかとなった。
事件を引き起こした被告の誇り高き言い分を聞いてみよう。
◆  ◇  ◆
マンネリ弁護士からの被告質問。
「あなたは助手席に乗車していたのですか?」
「はい」
「警ら中に見た不審な男性に職務質問はしたのですか?」
「しました。しかし覚せい剤は持っていませんでした・・・当時取締強化対策を
しておりまして、持ってない人にいろいろと聞くよりも次の人に聞くことを優先していましたので」
「その時に名前や職業についての質問をしなかったのですか?」
「はい」
効率を優先したと言いたいのだろうか?

「なぜ途中で捨てたと思い、男が歩いてきた道を引き返したのですか?」
「××は、この日はじめての取締りでした。
結構、被疑者は職質の前に道に捨てることが多いので、
被疑者が捨てた瞬間を見落としたのかと思い、確認に戻りました」
結果、予想通り覚せい剤が見つかった。素晴らしい読みである。

「管轄警察署に引継ぎをするのは?」
「原則・・・・」
「はじめは持って行こうと思っていた?」
「はい」
「その日に届け出ず、3日経って・・・なぜ持って行かなかったのですか」
「当日直ぐに別の被疑者が見つかり、その対応をしていて宿舎に戻ったのが、
21時過ぎになった。また次の勤務にしようと思っていたのですが・・・」
3日経つと検挙が難しい?」
「3日経過後には検挙が難しいと思いました」
「届けようとは考えなかったのですか?」
「基本ですが、当初は届けるつもりでした」

「担当に嫌味を言われると?」
「そういう気持ちはありました。良くは言われませんので・・・」
「××警ら隊では基本をやっていないと言われるのがイヤ?」
「はい」
嫌味を言われたくないの一心から出た選択肢であったようだ。

「出張に行っていた時、このことを思い出したことはない?」
「思い出したこともありました」
「出張から帰ってからは?」
「近々に何らかの方法で捨てないかんなと思っていました」
出張から帰って来て、もう届けようとは考えなくなった。
もう引き返せないと思ったのだろう。

「理由は?」
「できたら形のないように捨てるのがベストだろうと・・・」
ベストではない。

「検査と称して処分した日、他の課の人から検査キットのやり方を教えてほしいと言われたのですか?」
「以前から要望がありまして、この日出先でその検査をやることを聞いたので・・・」
「それで本物の覚せい剤を使って検査をしたのですか?」
「資料だけでやるよりも実際にやってみる方がいいと思いました。
それで一旦中座して。最初は迷いましたが・・・」
魔が差したのか。

「他の課の人の前で検査をしたのですか? これは本物の覚せい剤だとは言っていない?」
「言っていません」
「この時に処分するつもりだった?」
「はい。残りは灰皿代わりに使っていた空缶の中に捨てました」

「元々そうするつもりだった、それとも?」
「思い付きです」
「人の前ですると周りの人が見ているとは考えなかった?」
「一応食堂には他の課の人以外は誰も居なかったが、居てたら止めていました」

「時間が経過して段々と届出をしにくくなった?
それは1週間くらいですか。どの辺で諦めた?」
「10日位経って、いよいよ持って行くのは止めておこうと思った」
いやその日だろう。

「今は重大なことをしたと思っていますか?」
「はい」
「反省している?」
「はい」
普通ゴミに混ぜて捨てることもできただろう。
わざわざ人前で使用して、残ったものは灰皿に捨てる。
被告の取った行動は雑である。
一般ゴミだとリスクが高いと考えたのだろうか。

 
pride(結審編)へ続く