裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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ボクは的中率100%の予想屋さん(事件の概要編)

見るからに怪しさ満点の被告が起こした「不当競争防止法違反」の裁判の続編。

まずはゴリ検からの起訴状の朗読だ。
被告は、パチンコ店で副主任として稼働していた。
副主任の職務として、閉店後翌日の抽選確率を設定する業務」があり、それに携わっていた。
被告は、抽選確率等設の定情報は機密事項として守る職責があった。
にもかかわらず、Aらに対して報酬目的で設定情報を漏えい、
第6設定の台をAに伝えたというもの。

なお情報の漏えいには携帯電話を使用しており、被告の携帯から送信履歴も見つかっている。
余罪もあるとのこと。

 

なるほど・・・なかなか悪どい手口だ。携帯から物証が見つかっていることからも
被告はすんなりと認めるかと思いきや・・・社交辞令弁護士が話しはじめる。

「罪名は不当競争防止法違反で構いませんが、どのようなものが営業秘密にあたるかどうかを焦点にして争います。

まずは予め意見書を準備してきましたので、これから被告が読み上げます」

これはまさかの展開であった。社交辞令、やるじゃないか。
そして悪人面した被告は、意見書を読み上げる。

「①店舗A→店舗Bへ異動したこと、そして店舗Bで副主任として稼働していたことは認めます。

また同店で店長の指示の下、パチスロ機各台の設定条件を変えていたことは認めます」

「②ただ私の職責では社内機密事項を守る義務はないと考えます。というのも私は情報を管理する任務ではなかったためです。

ただ、それを以て店舗Bの設定条件を第三者には漏えいはしていません。
そのため第6設定の台の情報をAらには漏らしていません。
Aに送信した第6設定の台番号は、これまでの経験によるもので、
その経験から得た情報を伝えることがAらにとって有利になるかと思い、情報提供をしただけです」

「お前は政治家か」と野次りたくなるほど潔ぎの悪い、何とも白々しい申し開きである。

この白々しい言い訳に対して、

「被告の意見に同意、無罪を主張します。
①事実は認めるが管理責任はなかったと考えている。
②起訴状に秘密漏えいとあるが、提供した情報は異なった情報源で、
また被告独自に編み出したものをAらに教えただけであり、
機密事項の漏えいには該当しないと主張」

社交辞令、なかなかの強心臓の持ち主のようだ。

 

 

ボクは的中率100%の予想屋さん(証拠調べ編)へ続く

 

下半身で運命を奏でて(起訴状の朗読編)

「××市青少年健全育成条例違反、 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反」
といった長い罪名で起訴されているべんとーベン被告。

それではどんな事件を引き起こしたのだろうか。

国立理工学部卒業女子検事からの起訴状の朗読を聞いてみようではないか。

 

→ → →

 
被害者が未成年という配慮から××市青少年健全育成条例違反の被害者を被害者A、
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の被害者を被害者B
と呼称することが先に告げられる。

①被害者A(当時15歳)に対して、
平成24年9月、9時~10時××県にあるホテル「ナポレオン」において、
自己の性的欲望を満たすために性交をした。

②別の日、0時~6時、被害者B(当時15歳)に対して、
ホテル「ムーンライト」で性交をした。

③被害者Bに対して、ホテル「ナポレオン」で性交をし、
被害者が被告の陰部を口にくわえているものをデジタルカメラ23枚を撮影し、
それを電子記録媒体であるSDカードに保存した。
またSDカードには被害者Bが半裸になった写真8点も保存されていた。

④平成24年12月、△△県の被告方において、
③で記録したSDカードに保存したデータをパソコンのHDDに保存し、
児童ポルノを作成したことによるもの、
とのことだった。

この内容をべんとーベン被告はしれーっとした表情で聞いていた。
そして、この後裁判は急展開を見せるのだった。

 

 

下半身で運命を奏でて(冒頭陳述完結編)へつづく

まやかしは人の華(証人喚問編)

生活保護法違反で起訴されているカーネルサンダース被告裁判の続編。

メット弁護士が情状証人として召喚したのは、通称「タイルおばちゃん」だ。

 

◇   ◇   ◇
「被告との関係は?」
「内妻関係です」
恋に年齢はない。タイルおばちゃんも年の頃60歳前後だ。

「いつから(内妻関係)ですか?」
「1年半~2年ほど前で・・・古紙回収の時に知り合いました」
出会いは突然のようだ。

「この時被告は生活保護を受給していましたか?」
「確か未だだったと思います」
しかし、タイルおばちゃんのこの回答は、メット弁護士の予定に反したものであったのだろう。
この後、両者でヒソヒソと打ち合わせをし、タイルおばちゃんは証言を撤回、
「被告が生活保護を受給したのは証人と知り合う前であった」と訂正されることとなる。

「今回の事件を聞いてどうでしたか?」
「びっくりしました。そしてどうしてもっと早く気付かなかったのかを反省しました」
「もしあなたが不正受給のことを知っていたらどうしましたか?」
「自分が説得して、それで止めさせていたと思います」

「被告の普段の仕事ぶりはどうですか?」
「一生懸命する人です」
「普段の金遣いはどうですか?」
「無駄遣いをしません」

「今後は?」
「できるだけ被告と一緒に住みたい。そしてしっかりと見守っていきたいと思っています」
「社会復帰後は?」
「友人の○○氏に今の仕事を任せているので、仕事のお願いをしようとは思っています」
「今後被告が何らかの犯罪にかかわることがあったらどうしますか?」
「絶対に許しません。一緒に暮らす自分が見守っていきます。
今自分はペースメーカーを入れて、今の年金を頂くまでに生活保護を貰っていた
ことがあるので、自分は生活保護に助けられた。
だから生活保護には感謝している。だから・・・被告を見守っていきたい」
「今後犯罪を起こさせないための対処はありますか?」
「自分が被告と一緒に住んで、一緒に居ながら見守っていきます」

その後、淡々検察からはタイルおばちゃんへの質問はなかった・・・。

 
まやかしは人の華(被告は語る編)

時に孤独は人を饒舌にする(前編)

法廷にはイソクラゲのような被告が登場した。
イソクラゲが問われている罪名は、常習累犯窃盗罪。
10年間に3回以上、窃盗や窃盗未遂にあたる行為で
懲役刑を受けた者が新たに罪を犯すと成立し、
3年以上の有期懲役に処せられるというものだ。

無骨そうな検察からの起訴状の朗読を聞いてみる。
某有名パチンコ店において、遊戯台の足元においてあった
タブレット入リュックサック、2万7632円相当を持ち出し、
個人ロッカーへ入れた後に持ち去ろうとしたところを逮捕されたというものらしい。
被告とキノコの子は元気の子弁護士ともに事件を認めている。

そして、裁判はそのまま証拠調べに進む。
◇  ◇  ◇
まずは被告の身上・経歴から。
被告は61歳。現在無職で住所不定。
住所不定となったのは家賃を払えなくなったためであるとのこと。

大学卒業後鉄工所に勤務。その後職を転々とした後、衣料品販売店を経営。
これまでに離婚歴があり、前科は6犯。
うち1件については罰金に処されている。
平成15年に窃盗で懲役1年、平成17年には窃盗で懲役2年、
平成18年には累犯窃盗で懲役2年6月に処されているが何れも執行猶予付の判決が下っている。
平成20年4月にも累犯窃盗で懲役2年6月の判決が下り、この時は実刑となった。
その後平成22年に仮出所となっている。

今回の事件の経緯。
現在は年金暮らしで慎ましやかに暮らしていたが、
ある時「派手な生活をしたい」と思うようになり、
年金から金を捻出してカプセルホテルでの寝泊まりをしていた。
その後同パチンコ店でスロットを打ったのち、
被害者が席を取っておくためにリュックサックを置いていたものを
「金になるかな」と思い、今回の犯行に及んだというもの。

既に被害者との示談は成立しており、
被害者は「厳しい処罰は止めてあげてください」と言っているとのこと。
なお前回の裁判では「もうしません」と言っていたらしい。

なかなかダークな過去を持つイソクラゲのようだ。

 

 

時に孤独は人を饒舌にする(被告人質問編)へ続く