裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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傷害 判決

子どもっぽいあなたたちに喝! ~傷害罪の判決~

人間をそれなりの期間やっていると、理不尽なことや腹立たしいことに遭遇するのは避けられない。
ただそのイライラを暴力という形にしてしまったらどうなるのか?
大人であれば、誰もが分かることである。
しかし、そんなことが分からなかったのがこれから登場する被告と被害者である。

ふてぶてしい態度で鎮座する被告は、多少物分かりの悪そうな面構えをしていた。
年のころ、60はゆうに超えているように見える。
この被告は、今回傷害罪で起訴されている。
傷害罪と暴行罪とあるが、傷害罪は人の身体を害する傷害行為を内容とする犯罪であり、
広義には刑法第2編第27章に定める傷害の罪(刑法204条~刑法208条の2)を指し、
狭義には刑法204条に規定されている傷害罪を指す。
要は相手に怪我を負わせてしまったら、傷害罪となってしまうようだ。
ただこの罪に対する法廷刑は意外と重く、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(WIKI)。

被告は、いったいどんな因縁をつけたのか?
事件の経過を聞くと、どうもこのふてぶてしい態度の被告は、
以前、近くに住む今回の被害者から暴行を受けていたらしい。
それでも大人だった被告は、その場は何の報復もせずにじっと我慢したようだ。
しかし、いつまで経っても被害者から謝罪の言葉がなく、次第に被告は苛立ちを募らせることとなる。
後日、行きつけのスナックで、不幸にも被告と被害者が鉢合わせとなった。
それでも今回の被害者からは、謝罪の言葉はおろか、
まるで何ごともなかったかのようにそのまま通り過ぎてしまったのだった。
被害者のこの行動で被告は、切れてしまった。
切れた被告は、被害者の背後に回り、ウィスキーの空き瓶でいきなり殴りつけ、
その衝撃でふらついている被害者の顔面に手拳を一発お見舞いした。
結果、被害者は全治2週間程度の軽傷を負うこととなったのだった。

主文、被告を懲役10か月に処する。ただし刑の執行を3年間は猶予する。

判決理由として、酔者同士の小競り合いということがあったにせよ、
被告の粗暴さ、執拗さについては、同情の余地もない。
ただ被告が起訴事実を認めていること、初犯であること、
そして断酒を誓う被告に対して知人がフォローすると言ってくれていること、
被告が被害者に対して賠償を申し出ていること、
そして、暴力行為の割には偶然にも被害者のケガが軽傷程度で済んだことを鑑み、
社会内更正が相当と判断したためとのことだった。

最後に裁判官から、今回の事件は、お互いに大人げないものですから、
今後はくれぐれも周囲に迷惑を掛けないように、
そして、今回の事件が生涯で一度きりとなるように心掛けてくださいと釘を刺され閉廷となった。

法廷刑の割には、比較的軽い量刑である。
これも喧嘩両成敗ということになるのだろうか。

罪を憎んで、人を憎まず!? ~いざ判決の時「傷害」~

前回のスキンヘッドと入れ替わるようにして、入廷したきたのが、
若いのか若くないのかよく分からないといった鳥の巣のような頭のした被告であった。
罪名は「傷害」。
鳥の巣でも襲ったのだろうか?
主文 被告人を懲役1年2月と処する

判決理由
いつからか知人に対してある猜疑心を持つようになった被告。
そんな猜疑心に苛まれた続けた被告は、やがてその猜疑心を苛立ち、そして怒りへと発展させることとなる。
その怒りの炎は、知人への暴力行為となった。
いきなり知人に対して、火のついたタバコを被害者の顔に投げつけ、その後左手及び臀部を数か所を殴打。
被害者は、加療2か月の軽傷を負うこととなったのだ。
被告は過去にも同じような理由から暴力沙汰を計5回起こしている。
他にも、怒りだしたら店舗の物品を破壊するなどもあったようだ。

裁判官が一番危惧していたのは、今回を含めて、これまでにも度々問題となっている粗暴性である。
また被告が、シンナーを常用しているもマイナスの判断となったようだ。
それに加えて、被害者への弁済もなく、自分の犯した罪に対する悔悟の念が感じられないこともマイナスとなった。
ただそんなシンナー漬けの被告に対して、
未だ母が見捨てていないことが唯一の減刑材料として認められ、件の量刑となったようである。

そして、恒例の裁判官からのお言葉。
「こうした悪循環は断ち切らなければ再犯となってしまう可能性が高いので、この悪循環を断ち切るために、
今度こそ心を入れ替えて、社会復帰後には人との付き合い方を勉強して、
決して繰り返さないようにしてください」
・・・確かに。

それにしても薬物がらみの事件が目立つなぁ、といった印象である。

 

(了)