裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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器物損壊 犯行

誘惑の炎(中編)

止めていた三輪原付の後ろカゴに火をつけ、器物損壊の罪で起訴された英明似の被告。
冒頭陳述ではやや複雑な家庭環境が浮かび上がってきたが、
今回の事件を起こした本当の動機は・・・次は被告人質問。
+  +  +
「(起訴状のことは)やった?」「はい」
「どうして?」
「前日に見た火が忘れられなくて、(今回事件を起こした)マンションを通り過ぎた時に
もう1度火が見たくなった」
「偶然?」「はい」
「そんな気持ちなったの?」「はい」
・・・う~ん、何か釈然としない。

「毎日散歩に出かけるはなぜ?」
「アルコール依存なので、そのためです。
20時~21時が1番飲みたくなる時間なのでそれを紛らわせるためと健康のためです。
それで毎日ウォーキングやジョギングをしています」

「前日の火が衝撃的だったということは分からなくはないですが、
火をつけたら周囲に迷惑になるとは考えなかったの?」
「その時は分かりませんでした」
「火をつけたあと現場は立ち去ったのはどうして?」
「そこに居れば自分が犯人と思われてしまうと思ったためです」
当たり前だ。いつまでもその場に居てどうする。

「それでも再び現場に戻っている?どうして?」
「火がどういう状況になっているかが気になりました」
「見たいと思ったの?」
「見たいというより、気になった」
単に語用の問題ではなかろうか。

「どんな感じ?」「燃え上がるのを見て後悔しました」
「願いが叶ったのでは?」「そこまで大ごとになるとは思わなかったので・・・」
そこまでは思い至らなかったということか。

「消火を頼まれて?」「消すべきだと思いました」
「なぜ?」「自分がやったので・・・」
「駆けつけた消防官には?」「正直に話せませんでした」
「なぜ?」「刑務所に行くのが怖かったので」
う~ん。
弁護人の質問からは立証趣旨が見えてこないのはなぜだろうか。
+  +  +
「2日後にまたやっているよね?」
「1か所は・・・前からタバコを吸うところで、パン屋がありまして、
そこに何か月か止まっている自転車のかごに薄手の服が置いてあって、
誰のものかと気になっていたが・・・。
それを見るまではいつもジョギングをしていたのでそのまま通り過ぎていたのですが、
この日はちょっとタバコを押し当ててしまいました」
タバコを押し当てた!?

「この日、散歩に出かけたのはやろうと思っていたから?」
「それは思っていなかったです」
「はじめから火をつけようとは?」「違います!」

「いつ原付を見てやろうと思ったの?」
「ジョギングをしていた途中に、咄嗟に目に入ったものに火をつけたいと思いました」
「自転車は?」
「自転車を見て、火を見たいというよりは服に穴をあけてみようと思い・・・
それで火が上がってしまったので、逃げ出しました」

「自転車の方は単にいたずらしたいと?」
「はい。そのあと穴が広がるように燃えていって、それで立ち去ってしまいました」
「なぜ?」
「自分で点けた火なのに関わると犯人扱いされてしまうと思い逃げました。
ちょうど遠くから自転車で近づいてくる人が居たので・・・」
衝動に駆られての犯行といったところだろうか。

 

誘惑の炎(中編2)へ続く