裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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暴力行為等処罰に関する法律違反

ヤクザの花道(前編)

これから傍聴しようとする裁判の罪名は、暴力行為等処罰に関する法律違反。
あまり耳慣れない法律であるが、団体または多衆による集団的な暴行、脅迫、
器物損壊、面会強請、強談威迫などを特に重く処罰する日本の法律であり、
1926年の施行と案外古い。
この法律は、一般刑法ではなく特別刑法に位置するもので、
暴力団による強要・脅迫行為を取り締まる為の法律である(WIKI)。
◇  ◇  ◇
法廷の前にある長椅子には、いかにもその筋らしき方が大きな声で話している。
もちろん誰も咎めない。
「外に居っても暴れてばっかりやから丁度いいんちゃうかぁ。
これで少しはおとなしくなるやろうかぁ・・・無理やなぁ、
中の者が参ってしまうんとちゃうか、ハッハッハッハッ」

小市民であるUNICOが、この裁判の傍聴を躊躇したことは言うまでもない。
それでも・・・と勇気を振り絞り法廷に入ってみる。
・・・予想はしていたが、傍聴席には誰も居ない。
思わず引き返そうとしたときに、先ほど廊下で話していたその筋の方が傍聴席へ。
そのうち若い衆らしき人も数名入廷・・・もう後には引けない。

するとそこへいかにも・・・といった被告が入廷する。
黒のスウェットの上下には、UNICOの期待を裏切らない大きなドクロ柄が施されている。
◇  ◇  ◇
まずは、検察からの起訴状の朗読。
検察官は、このピリッとした雰囲気には似つかわしくない人物、
お笑い芸人のダイアン西澤氏に似ているときた。
おかげで笑いを堪えなければいけないといった
余計な作業が追加されることとなったのだ。

被告は、指定暴力団▲▲組系●●組構成員。
昨年の12月、バイクで暴走する若者に対して、
制裁を加えようと見回りに出かけていた時に、
22歳と23歳の青年に対して、木製木刀を持って、
「お前らどこの奴や~!!」と凶器を使用し、
今にも危害を加えかねない勢いで脅したことによるもの。

被告とイグアナ弁護士はすんなりと事件を認めたため、
そのまま検察からの冒頭陳述へと進む。
被告は住所不定の無職。現在32歳。
10代の時に一時建築業に所属するも、17歳で▲▲組系●●組の構成員となる。
これまでに暴行、傷害など計前科4犯。
前回は懲役1年の刑期を終えて昨年出所している。

今回事件をおこしたのは、組事務所の前をエンジン音、
音楽の騒音を鳴らして走行するバイクに対して、
殴る等の制裁を加えようと軽トラに木刀を積み込んでいた。
その見回りの際に、道端で立ち話をしていた被害者たちを見かけ、
「暴走族の仲間に違いない」と思い、上記の犯行に及んだとのこと。

(被害者たちの供述)
被害者たちは3人で居た(うち女性1人)。

①白色の軽トラが走ってきたので、それをよけたら自分たちの前で止まり、
クラクションを鳴らした後に、木刀を肩に担いだ被告が現れて、
「お前どこのもんや」と低い声で言われ、
「■■です」と答えると「■■か」と答え、
その後は何もなく、被害者のうちの1人が被告に対して、
「何をしてるんですか?」と聞くと「悪者退治や」と答えたとのこと。
大変怖い思いをした、そのことで仕返しをしないように厳しい処罰をお願いします、
と言っているらしい。

②①と同じ内容。

③内容は①と同じ。
ただこの被害者の女性と被告とは面識があり、
被告は被害者が勤めるカラオケ店の常連で、
被害者はすぐに「バイト先の常連のやくざであることが分かった」と話していたらしい。

(同行していた組員の供述)
平成22年より、被告と一緒に暴走族の仲間を探していた。
その際、「見付けたらボコボコにして正す」と言って、
その頃より木製棒を持って見回りをするようになったとのこと。
また被告は、「ここ最近、わざと音楽やエンジン音を鳴らして、
ヤクザのことをなめている奴がいる。こいつらをボコボコにしてけじめをつける」
と言っていたらしい。

被告は、このことが原因で別の人ともトラブルを起こしている。
更にこの件以後、暴走族の騒音が増えることとなったらしい。
だから、被告は今回の若者たちを暴走族だと思ったとのこと。
30歳を過ぎても、なかなか血気盛んな被告のようだ。

 

ヤクザの花道(中編)へ続く