裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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暴行 ブログ

急所をねらえ!(後編)

同じ刑務所に入る被害者の陰嚢を赤く腫れ上がるまで蹴り、
傷害の罪で問われている被告。
柔道黒帯の弁護人からの被告人質問に対して、
被害者が社会に出てから困らないようにしつけをしたと言っていることから
また繰り返す予感を覚えたUNICOだったが・・・。
この心証を続く検察からの被告人質問で変えることはできるだろうか。
◇ ◇ ◇
「被害者に対しては今どう思っていますか?」
「無理やり手出しをしてしまったことを悪いと思っています」
「具体的にどこが悪かったと思うの?」
「別の方法、他人のことは放っておくしかないということを分かっていなかった。
それができずに短気なところがあったと思う」
正しいのか正しくないのかよく分からない意見である。

「なぜできなかったの?」
「半年近く一緒だったのですが、最初は放っておくことができたが、
ただ段々と被害者のことが目につき、それで誰かに相談しようと思っても居なくて、、、。
自分の中で腹が立ってきてしまいました」
やはりしつけでもなく自分の苛立ちである。

「Aさんに相談はしましたか?」
「工場で何回かしました」
「相談したあとの結果は?」
「Aさんは『そうですね』としか言わなかったので、具体的な解決にはならなかった」
それが大人の対応というものであろう。

「被害者の言動はAさんも知っているよね、それでもAさんは暴力をふるっていないよね?」
「はい」
「あなたは平成17年にも傷害事件を起こしていますが、この内容は?」
「同じ部屋で生活している若い子が、他の子に怪我をさせたり、
嘘を吐いたりしていたので、腹が立って・・・」
「拘置所といった今回と同じような環境で相手の行動が気になって暴力をふるっていますね」
「はい」
「このような我慢できない状況で今後暴力を振るわないと言える?」
「しないように十分に自粛します」
拘禁症状なのかもしれない。

「前のときのことは考えなかったの?」
「考えました」
「受刑中という身分、暴力などはあっていいはずもなく本来は反省する場である。
その点については考えなかったの?」
「甘かったところがあったと思います」
「それが歯止めにはならなかった?」
「甘かったです」
「終わります」
今後被告が、このような環境下に身を置くことがないように祈るばかりである。

その後、検察から懲役1年2か月が求刑される。
そして黒帯弁護士が、結果を見て止めたことで重篤化せずに済んだこと、
少ないお金の中で1万円を送金し、弁済していることなどを挙げて、
中赦を適用してもいいのでないか。寛大な判決を望みますと主張するに至った。

そして被告の最終陳述は、
「今回やったことは相手を傷つけたことを反省しています。
できる限り被害者についても償っていこうと思っています。
今後は真面目にやっていこうと考えています」
と無難にまとめ、結審となったのである。
◇ ◇ ◇
この被告は、良く表現すると真面目なのであろう。
ただ自分の狭い価値観を押し付けてしまうところが
被告のウィークポイントなのかもしれない。

今回は方法が良くなかった。
この行為に対して減免しろと主張する黒帯弁護士の意見はどうかと思った。
残念だが、検察の求刑をUNICOは支持したい。
(了)