裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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点と点(後編)

点と点(後編)

十分に後悔していることが窺える被告に対して、
次は吹石一恵似検察官からの質問が投げかけられる。

「それでは検察官から質問をします」
と毎回緊張感に欠ける若干媚びたような甘めの話し方をする吹石似の検察。
この話し方で相手を油断させておいて、質問内容がエグイ・・・。
これがこの検察のやり方だ。

「停止線の70.6m手前では信号は黄色でしたよね?」
「はい」と答える被告に感情が入っていないことが直ぐに分かる。

「この距離で黄色なら、交差点に入った時には赤色に変わりますよね?」
「はい」
「信号の確認が必要ですよね?」
「はい」
「なぜ黄色だと思い込んだのですか?」
「何か思っていたのかも分かりません」
「赤色になっていることを奥さんに言われてから気付いたのですよね?」
「はい」
「事故後、あなたはどんな対応をしましたか?」
この寸止めが得意技であろう。

「停止して、中央分離帯へ車を移動して、直ぐに相手の所へいきました。
すると被害者が倒れていましたので『どうですか』と声を掛けました。
電話はぶつかった時に対向車の南側の人が110番通報をしてくれていました」
冷静な対応だ。

「被害者は加療で苦労していますが、処罰を望まないと言っておられますね。
これを聞いてあなたはどう思いますか?」
「嬉しいと思います」
「今免許はどうなっているのですか?」
「取り消しですね」
「今後また免許を取ることを考えていますか?」
「取らないと思います、もう年ですので。今後はないです」
そうハッキリと語る被告。

「何が一番いけなかったと思いますか?」
「事故をしたところでしょうね」
「どうしたらよかったと思いますか?」
「いろいろありましたしね、母が亡くなったとかもありますし・・・。
ただ事故が一番悔やまれますね」
「運転中に考えごとに耽っていたということですか?」
「はい、事故が悔やまれます」
この回答を引き出して、得意面で「終わります」と告げる吹石検事。
何かが欠けていると感じるのはUNICOだけか?

その後の求刑では、禁錮1年4か月が相当と述べる吹石。
一方弁護人は、執行猶予を希望するとのことだった。
+ + +
被害者のケガが相当に重いことを判断しての求刑だと思われるが、
如何せん前科前歴もない被告が起こした事故にしては、
禁錮1年4か月というのは少々重いと感じてしまうのは、
被告の人柄の良さを感じてしまったためであろうか。
もし被害者が難しい人で「処罰を希望する」と言っていたならば、
被告は懲役刑になってしまうのだろうか。

被告と被害者という決してよくない出会いではあったが、
これも何か言葉では言い表せない縁なのではないか
と感じてしまったUNICOであった。
(了)

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