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新春詐欺シリーズⅡ ~男四十にして、残り少ない人生を全うする(前編)~

新春詐欺シリーズⅡ ~男四十にして、残り少ない人生を全うする(前編)~

法廷には、スウェットに大きなアニマルプリントが施されたいかにもといった服に身を包んだ
見た感じ60歳くらいの何とも締まらないおやじが入廷してきた。
罪名は、詐欺とクスリとあったが、このくたびれたおやじに詐欺がつとまるというのかは疑問だ。

早速どんな犯行の手口であったのか。
人柄の良さそうな検事からの起訴状の朗読と冒頭陳述の内容をまとめて聞いてみよう。

>被告は中学卒業後、建築、建設現場で働いていたが、現在は無職で生活保護を受給していた。
これまでに1度の離婚歴はあるが、現在その別れた妻とは内縁関係を続けている。
これまでに前科8犯。うち3犯は同種の罪名によるものである。

そんな犯罪との親和性の高い被告の今回の手口は、
レンタルビデオ店Tで会員証を作成する際に、免許証の氏名、生年月日の一部をカッターナイフで削り取り、
本名の一部と生年月日の一部を改ざんし、複数の会員カードを作成後、
CDアルバム10点、計30,000円相当を転売目的でレンタルしたとのことだった。
その後、レンタルしたCDは、別のレンタルビデオ店Gで売却した。
そして、数週間後に性懲りもなく同じ店へ行き、
今度はCD20枚を借りようとしたところで店員が気付いて警察に通報し、逮捕に至ったようだ。
警察も前回被告が逮捕される前から同様の手口の事件が多発して捜査を進めていたが、
被告が刑の執行中にはパッタリなくなっていた。
しかし、被告の出所後には再び同様の手口による事件が発生したため、被告をマークしていたらしい。

次にクスリである。
転売した金で、何を思ってか、わざわざ岡山県まで出向いて、
アンフェタミン入りの水溶液を注射器で摂取したらしい。
この覚せい剤は●●地区で売人から1万円で自ら売人に近づき購入したものであった。
逮捕後の身体検査時に腕の注射痕を認めて本人に聞くと、
「点滴をした」と供述し、素直に犯行を認めなかったとのことだった。
更に被告は、転売時は内妻と一緒に行ったと供述していたが、実は単独犯だったり、
この犯行は刑期中に刑務所で知り合いになった者から「金になる」と聞き、
小遣い欲しさにやってしまったと述べていたらしいが・・・。

これまた往生際の悪い被告のようである。
新春詐欺シリーズⅡ ~男四十にして、残り少ない人生を全うする(後編)~につづく

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