裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

3

今、会いに行きます(中編)

今、会いに行きます(中編)

原付の酒気帯びで捕まったパピヨンヘアの被告。
その弁護を引き受けたやる気のない弁護人からの被告人質問が早々に終わり、
続いて、佐古キャスター似の検事からの質問だ。

「家で飲んでいたの?」
「はい」
「交際相手から連絡があったのですか?」
「はい」
「交際相手に会いに行くためですね?」
「はい」
佐古キャスターはいつもジャブから入る。

「その時に乗るのは止めようと思いませんでしたか?」
「それは思いましたが、その時は軽い気持ちだったので・・・」
被告はこうして徐々に検察の術中に嵌るのだ。

「別の手段は考えなかったの?」
「徒歩でも良かったと思います」
「交際相手の家まではおよそ1.5km程度ですよね、十分に歩けますね?
「はい」
「この日借りていたバイクを返そうと思ったの?」
「はい」
「なぜこの日に返そうと思ったの?」
「・・・・・・早く返そうと思いまして」
被告はもう追いつめられている。

「うん、酒気帯びがどうして悪いのかについては分かっていますよね、
事故を起こしてしまうとは考えなかったの?」
「考えませんでした、その時は・・・」
「何で飲んで運転しようと思うのかな・・・どうして壁があるのに
乗り越えてしまうのでしょうかね?
「・・・・・・よく考えていませんでした」
これは厳しい。

「酒を飲んだら正確な判断はできないよね、万一の場合、責任はとれるの?」
「取れません」
「取れないよね、過去にもありますよね・・・それを踏まえてこの時は考えなかったの?」
「考えました」
「酒を飲むとそういったものも緩んでしまうのかな?」
「その面もあったと思う」
もはや被告はKO状態である。

「今後原付には乗るの?」
「もう乗りません。自動車も去年11月に処分しました」
「今後運転することは?」
「原付や自動車はもう使いません」
「それで不便じゃないの?」
「はい、自転車を買いましたので、これで行ける範囲で必要なものを探します」
検察の圧勝であった。
そして30歳にして、今後二度と運転をしないと宣言させてしまったのである。
本当に自転車で交際相手は納得するのだろうかは疑問である。

 

今、会いに行きます(後編)へ続く

« »

コメント