裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

3

引き寄せる宿命(序編)

引き寄せる宿命(序編)

2時12分。
早朝と言うべきか。はたまたまだ深夜と言うべき時刻か。
そんな未明の時間に、これから仕事をはじめる被告と仕事を終えた被害者。
本来知り合わない筈の両者が、この瞬間に最悪の形で出会ってしまった。
◇  ◇  ◇
塵芥車を運転していた被告は、片側2車線の道を15km/hで進行中、
交差点に差し掛かる直前で、右車線に入ろうと方向転換をした際、
右後方から真っ直ぐ進む当時29歳の被害者が、
運転する自動二輪車の右後輪部を巻き込んでしまったのだ。

結果、被害者は右下肢傷害を負ってしまう。
その後被害者は救急車で運ばれ手当を受けるも、
その甲斐もなく命を失ってしまった。
死因は失血性ショックだった。

こうした経緯で事故を起こした人物は、刑法211条2項自動車運転過失致死という罪名で、
被告として裁判所で裁判を受けている。

そして、起訴状に争いがないということで、
吹石似の検事がゆったりとした口調で冒頭陳述をはじめる。

被告は、中学卒業後に運送業など職を転々とした後、
現在のゴミ収集業に就職した。
これまでに婚姻歴があり、現在元妻と子どもと同居している。
過去に被告は、業務上過失傷害で12万円の罰金、
道交法違反で6000円の罰金とがある。

この日は会社出勤後、塵芥車である中型特殊自動車を運転中、上記の事故を起こした。
事故後、被害者の母より、
「被害者はすくすくと育ち、とても優しい子供だった。
野球少年で、中高大とずっとやっていた。
その後料理人になるべく専門学校へ行き、一時は自分でラーメン店を持つまでに至った。
その後諸事情があって閉店となったが、
その後あるお店で働くようになり、実家の神戸から大阪の店舗まで通っていた。
そこで働きぶりが認められ、3月からは店を任せて貰う予定となっていた。
また婚約者がおり、昨年12月には店に招待をした」

「被告からは、葬儀で一度謝罪があったのみで、以後謝罪はなく、
法事の時にこちらから連絡を取っても出ることがなく無視された。
被告には法律に則って処罰をしてほしいと話している」とのことだった。

 

 

引き寄せる宿命(前編)へ続く

« »