裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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異国からのメリークリスマス! ~強制わいせつ罪~(後編)

異国からのメリークリスマス! ~強制わいせつ罪~(後編)

(前編の続き)
月曜の夜にネパールの実家から「子どもが病気になったので送金してほしい」と連絡があって、
途方に暮れた被告。この後被告は犯行へと邁進をはじめるのだった。

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明日は火曜日で出勤日であるが、そのまま酒に走ってしまう。
結果、その翌日である火曜日は「調子を崩してしまい」被告はお店を休んでしまう。
本人曰く「調子が悪かったので、家で休んでいた」らしいが、どうやらそうではなかった。
フラフラとコンビニへ行って酒を購入し、そのまま飲んでしまう。
これをはじめは否認していたが、コンビニで酒を購入している被告を映す写真が、
証拠としてあがっているため言い逃れができなくなった。
そして被告は「写真があるので、そういうことかな・・・酒を買ったまでは正しい」とのたまった。

というのも、コンビニの帰り道ですれ違った自転車に乗った女性というのが他ならぬ被害者当人なのだ。
だから被告にとっては困った証拠なのだ。そして往生際の悪い被告はこう続ける。
「よく覚えていないが、誰かと当たったのかな・・・右手が痛いと思っていた。女性の顔は覚えていない」
「女性が触られたと言っているのは聞いたが、覚えていないので」と続ける。
さすがに庇いきれないと思ったのか弁護人から、
「被害者が嘘を吐いていると思うの?」と見捨てられる始末。
すると被告は「今回のことはお酒を飲んで、いろいろなことをしてしまったということを反省している」
「ただ貧乏人なので、今後は真面目に働いてもう繰り返したくないと思っている」とネパール文化を発揮。
今後についても、「家族、子どものことを考えて過ごしたい」「日本で長く暮らしたい」
「のちのち子どもを呼んで暮らしたい」とまで言ってのける。
2度とやらないかの質問に対しては、
「できます!努力して罪を犯さず過ごしていきます!」
「酒も止めます!子どもが正しく成長できるように支え、しっかりとやっていきます」だって・・・。
「終わります」と力なく弁護人の口からこぼれた・・・。

次はクリボー検事(女性)の出番だ。
前日、前々日に警察に連れて行かれていますよね、酒を飲んだら問題行動を起こすことを
この時に気付けなかったの?との鋭い質問。
「記憶がないので、飲んでみないとその日にどうなるかが分からない」とまたネパール文化で応酬する被告。
更に警察に行ったことはあるのかについては、
「覚えていない、その前の記憶、ネパールと連絡したまでは覚えているが・・・」と恒例のパタンで回答する。

埒があかないと思ったクリボー、聞き方を変えてみる。
これまでも酒を飲んではいけないことは分かっていなかったの?「これからは飲まないと誓う」。
今回の逮捕前には思わなかったの?
「逮捕の前まではそう深く考えなかったが、今回は嫌なことがあったので、つい飲んでしまった」。
ダメだ、平行線だ・・・。そしてクリボーは変化球を投じる。
これまでに酒に逃げたことは?「やはりその日は15,6万円送金してくれと言われたので、飲んでしまった」
ハハハ・・・全く通用しない。諦めたクリボー、質問を変える。
日本に居る家族は捕まったことは知っているの?
「兄弟は知っています」「兄たちも間違いをしっかり認めて反省するようにと言っていた」。
被害者が嫌な思いをしたことは分かる?それで弁償金を支払っていないがどう考えているの?
「(犯行に対して)弁償をすることは分からないが、許してほしい」。
お金で償うということは分かる?「返さなくてはいけないという考えは分かるが、お金がないので・・・」
弁護人が被害者の元を訪ねていることは知っているの?
「行ったということは聞いている、ただ被害弁償をしようにも金がないのでできなかった」。
お金を返すことは分かるの?「分かります」。
「・・・終わります」と告げるクリボーの目はいつも以上に生気がなかったように感じた。

裁判長もチャレンジする。
社会復帰後はどうしたいの?「日本に居たい」。
本国に帰るということは?「そういうことは考えていない、日本で働いて、家族を養っていく」。
なかなかの強い意志だ。
犯罪を犯すと在留資格がなくなる可能性があることは知っているの?
「はじめは知らなかったが、最近知り始めた」。
こうして不毛な被告人質問が終了を迎える。

そして、求刑だ。頼むぞ、クリボー!
身勝手な犯行な上、己の性的欲求を満たためだけの自己中心的な犯行であり、酌量の余地がない。
また白昼に堂々と襲うなど大胆かつ卑劣な犯行で、再犯の虞も十分に考えられる。
被害者はどこかに連れ込まれるのではないかという恐怖を覚えたことなどその精神的影響も大きい。
また6年前にも住居侵入をしていることなどから規範意識も薄いと考えられる。よって懲役2年を求刑する。

その後、弁護側からは不毛な執行猶予ねらいの陳述が行われ、迎えた被告人の最終陳述。
「すべての人たちに申し訳なかった。特に女性に対して申し訳なかった。
今後日本に居たい、そのために努力をしたい、どうか許して頂きたい」

これを受けて閉廷となった。

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あまりにも往生際が悪く、また責任転嫁の目立つ被告の言動は聞いていて非常に不愉快だった。
疑うことはよくないかもしれないが、本当に家族からの連絡があったのかすら疑わしいものだ。
覚えていないこと=罪にならないと考える浅はかな被告の文化は、大問題だ。
これは施設内更正後に強制送還するのが、一番よい方法ではないのかと
海を渡り、辿り着いたクリスマスプレゼントの返還を祈るUNICOだった。
(了)

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