裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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聖夜に劣情をぶつけて ~強制わいせつ罪(判決)~

聖夜に劣情をぶつけて ~強制わいせつ罪(判決)~

敬虔なる多数の仏教徒たちが、聖夜のイベントに向けて精を出している。
偏や法廷では、皮肉なことに被告たちが劣情を発散すべく挙って犯行に精を出している。

そして1人、60の還暦を迎えて、完全に子ども返りをした男が入廷する。
この男の罪名は、強制わいせつ罪である。

主文、被告を懲役2年に処する。ただし刑の執行を3年間猶予する。また未決拘留90日分を刑に算入する。

判決を聞いて、続々と傍聴人たちが退廷していく。結果傍聴席にはUNICOを含めて2名しか残らなかった。
この被告は一体どんな犯行に及んだのか。

とある公園内でのこと。
当時5歳の少女から「すべり台の柵につかまらせて」と頼まれた被告。
被告は、少女の希望通り背後に回り、左手で少女の左脇を抱えた・・・まではよかった。
そのあと血迷い始めた被告は、空いている右手を少女の陰部へ・・・。
異変を感じた少女は「降ろして、降ろして」と何度も叫ぶも、劣情に着火してしまった被告には届かない。
「大きくなったら胸が大きくなるから」
とのたまいながら、少女の胸を触るといった本領を発揮してしまったようだ。
この異変に気付いた後の証人らが警察に通報、あえなく御用となったとのこと。

逮捕後の供述で被告は、「少女から遊具につかまらせてほしいと言われたので頼みを聞いただけ」で、
「少女に触ったのは、遊具につかまらせるために持ち上げた腹部である」と供述したらしい。

そんな経緯があり、公判でも、被告は一貫して無罪を主張していた。
その主張を受けて弁護人も、証拠調べでは、犯行時を再現して「その体勢では、
右手の可動域を考えると陰部に触れることは不可能である」といった検察調書に対して、
数多の反証に出たらしいが悉く棄却され、証人2名(右斜め前、支柱ごし)の
①少女の股間に手を入れていたこと、
②少女から降ろしてとの訴えがあったにも関わらず降ろさなかったこと、
③「大きくなったら胸が大きくなるから」と言いながら少女の胸のあたりを触っていた
などの目撃証言が支持された。
また以前から近所では「女の子とばかり遊ぶ変な人」として「有名人」であったようだ。
かなり頑張った弁護人。それはそれは残念な結果だったのだろう。
判決理由を聞きながら、被告以上に項垂れていたのが印象的だった。

「卑劣な犯行ではあるが、接触が着衣の上からであったこと、初犯であったこと、
2度と子どもとは遊ばないと言っていることなどを勘案して、社会内更正を選択した」という言葉が、
やけに虚しく法廷内で響くのだった。
(了)

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