裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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性犯罪

本能のダンス(完結編)

後日―判決の日。
この日、強制わいせつの裁判傍聴には、多くの人が押し寄せた。
30席程度の席は男性傍聴人で埋め尽くされ、
法廷の外には着席できずに判決を待つ人が数人居るほどだった。
◇  ◇  ◇
UNICOが着席した時には、チェリー検事、ゴルフドライバー弁護士、
そして、ゴルフドライバー弁護士に、
「思いっきりショットをしてくれ」と言わんがばかりの丸刈りを決め込んだ被告が
既にスタンバっていた。
ゴルフボールとしての人生を決め込んだ被告は臨戦モードに入っている。

すると、女性教師タイプの裁判長が一段と厳格な雰囲気を醸し出して入室する。
◇  ◇  ◇
主文、被告を懲役3年6月に処する。ただし未決拘留日数50日をその刑に算入する。

予想以上の重い刑であったため、場内は一瞬ざわついた。
無理もない。これまで被告には前科前歴がなく初犯であったためだ。

 

その判決理由は以下の通り。

①被告の実家(鹿児島にて)
②薬局駐車場にて
③④内妻方
において、わいせつな行為を繰り返したことによるもの。

内妻とは被害者が6歳の時より同居。
平成23年(被害者10歳)より胸部を触る行為がはじまり、以後も顕著な常習性が認められる。
相手は小学生であり、態度は悪用、悪質である。
動機は被告の欲を満たすだけの行為であり、犯情は重い。
また被害者は精神的な苦痛を与えられ、また転校を強いられるなどの不利益を被った。

昨今こうした事件に対する一般予防の意識が高まっているにもかかわらずの犯行でもある。
被告の実母が50万円の慰謝料を検討している。
しかしお金では償えないものがあり、また限度もある。
情状関係としては、被告から反省の弁があり、実母も監督を申し出ているが、
犯情がなにぶん悪質であり、その猶予は無論ないと言わざるを得ない。

悪質な事件なので、厳しい判決ですが、重く受け止めて真人間になってください。
と言葉を添えて、閉廷を迎えるのだった。

こうして、ショットされたゴルフボールは物の見事にOBとなったのだった。
(了)

本能のダンス(求刑編)

そして、女性裁判長からの怒りの被告人質問がはじまった。

「あなたは今回の事件を起こしたのは、かわいかったからだと、
そして性的欲求でもないと言いましたが、それでは何のためにやったのですか?」
「・・・・・・」
下を向き回答に困る被告・・・当然だろう。

「かわいかったからこういうことをするものですか?」
「・・・そうでもありません」
「どうして(理由を)自分の口で言えないの?」
「・・・・・・」
静まり返る法廷、被告にとっては長い時間であろう。

「今回の事件は性的虐待と認識していましたか?」
「虐待とは認識していませんでした」
「暴力や無視と一緒のことをしているとどうして認識できかったのですか?」
「自分のエゴだと思います」
「エゴならやってもいいの?」
「そうしたところが自分の考えの欠点だと思います」
「欠点とは?」
「何でも浅はかに考えて行動するところです」

「被害者が喜んでいるとでも思ったの?」
「思っておりません」
「虐待とは思っていなかったの?」
「恐ろしいことをしました」

「リストカットは虐待の結果です!!!」
「・・・・・・はい」
◇  ◇  ◇
厳しい叱責の時間が終わり、白を切りとおす被告にとって、いよいよ運命の時を迎える。
検察からの求刑だ。

「卑劣かつ大胆で悪質な犯行で情状の余地はありません。また常習性も認められます。
被害者は11歳ということで母を悲しませたくないとの思いから何も言えず、
また被告に対する恐怖心もあった。
また被告には自制心も欠如しており、犯情にも酌量の余地はありません。
求刑ですが、懲役5年を相当と思料します」

片や苦しい状況に追い込まれたゴルフドライバー弁護士。
「魔が差したでは済まないが、可愛さあまってのことで、
被告は被害者が嫌がっていると認識していなかった。
今回のことで猛省を通じ、また事件の深刻さも理解している。
また生涯を通じ謝罪をしていくも言っている。また何があっても接近しないとも誓っている」

「被告には前歴がなく遵法精神はある。
被害者に支払った50万円は慰謝の措置で、今後については書面化する。
証人たちも真っ当になることを期待ているし、被告は死んでお詫びしたいと言いながら、
いちからやり直す気持ちである。
内省していることから、自力で更正できることを切望します。
金銭補償もその方が早くできるとも思料します」

最後に被告からの最終陳述。
「何もありません」

裁判長が「本当にいいのですか」と確認するも、
何も言わない被告。

こうして結審を迎えるのだった。

 
本能のダンス(完結編)へ続く

本能のダンス(いざ結審後編)

ロリコン裁判、いや内妻の娘、当時11歳に対して、
「添い寝」と称して布団に一緒に入り、胸を触る、陰部に指を入れるなどを行った
45歳の内妻の夫、金山一彦似の被告の裁判の続編。

次はチェリー検事による被告人質問だ。

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「供述の中で被害者は嫌がっていないように見えたと言っていますよね?」
「話の流れの中でそう言いました」
「本当に嫌がっているばかりでははない、無理やりではないと思いましたか?」
「そんなことはありません」

「このようなことを継続してしている中で、内妻に見つかるとは思いませんでしたか?」
「何かあったら分かるとは思っていました」
「バレるかもしれないと思いながらも続けていた?」
「はい」
果たして本当にそうだろうか。被告は「絶対にバレない」と考えていた筈だ。

「被害者に対する行為について今はどう考えている?」
「身勝手な考えで、自分だけで勝手に想像して犯した罪だと思いました」

「可愛さあまりに膣内へ指を入れますか?」
「いきすぎました」
「性欲を満たそうとしただけではないのですか?」
「そうではありません」
「被害者や内妻に対してこの行為はどうですか?」
「裏切りをしたと思っています」
「内妻と寄りを戻したいですか?」
「それはありません」
「それではなぜ反省文の中に『まだ内妻のことを好きだ』と書いたのですか?」
「一緒に居たころが幸せだったということを伝えたかった」

「供述の中で、被害者の口に舌を入れたことを入れていないと嘘を吐いていましたね?」
「はい」
「被害者が現在リストカットをするようになって、
カウンセリングへ行っていることを知っていますか?」
「私がやった行為がどれだけ傷つけたのかと思うと、
とてつもないことをしたという気持ちで一杯です」

生々しい内容だった。これはかなり裁判官の心証は良くない筈・・・
と思い裁判官の顔を見ると、怒りに満ち満ちた表情で被告を睨んでいる。

そして、求刑かと思いきや・・・潔癖そうな女性裁判官からの質問がはじまった。

 
本能のダンス(求刑編)に続く

本能のダンス(いざ結審前編)

チェリー検事から証人への質問がなく、少々拍子抜けの感を否めないまま、
裁判は被告人質問へと進んでいく。

先ずは、ゴルフドライバー弁護士からの質問。

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「調書の内容は?」
「大丈夫です」
「調書の中にある陰部を触ったときに『興奮しているやろ、濡れているな、感じているな』
などを被害者に言ったとあるが、事実ですか?」
「早く取り調べが終わって楽になりたいと思い、何でもはい、はいと言ってしまいました」
と言って涙ぐむ被告。

「警察は供述内容が記録に残ることはないと言ったのですか?」
「自分から言ったことではありません。自分が罪を犯したから
そんな風に書かれても仕方がないと思いました」

「それにしても、なぜ何度も・・・更に長期間このような行為をしたのですか?」
「やっぱりいつも膝の上に乗ってきて・・・かわいく感じました。
かわいい、かわいいの延長だと思いました」
「その説明ははじめの1回は理解できなくもないが・・・なぜ繰り返したのですか?」
「・・・その子に対して、一生を掛けて・・・」
嗚咽交りで質問の核心を避けた回答をする被告。

その時、これまで沈黙を守っていた女性裁判官から苛立ち交りの鋭い声が法廷内で響く。
「そうじゃなくて、何で繰り返したのって聞いているのでしょ!」
「・・・可愛さのあまりです」

「バレなければいい、嫌がっている風にも見えなかったと話していたでしょうが。
今考えてみてどうなの!!
「・・・・・・」
回答に詰まる被告。これで一気に法廷内は引き締まった。
完全にアウェーの中、ゴルフドライバー弁護士が質問を続ける。

「償いはお金で返せないが、これからもそのことは考えていくつもりだと話していましたね?
12月に電話すると70万円は受け取りましょうという話になりましたね?」
「はい」
「成人するまでは送金を考えているの?」
「はい」
「いくらくらい?」
「月に3万円くらい」
「共同生活をしていた時の支払いも今後払っていくつもりですか?」
「はい」
「今後について。こうして社長も来てくれたがどう思ったの?」
「今まで僕のことを見捨てないで一所懸命助けて頂きまして、
一生の恩人だと思い大切にしたいと思っています」
とスラスラ話す被告。

「イチからやり直す?」
「はい」
「生きていくのがしんどいと一時期漏らし、不安になっていたが、今は?」
「大丈夫です」

「被害者と元内妻へ今の気持ちとなぜこのようなことをやったのか?」
「被害者には一生残る傷を残したことは反省しています。
それでもやはりかわいい・・・僕を慕ってくれて・・・。
その可愛いさのあまりにやってしまった。実の子だったら絶対に許されない」
「実の子じゃなかったらいいの?」
「いや、本当の子だったら許されないことをしてしまいました」
「身勝手に尽きるね?」
「はい」

ここに来てようやく被告の本音が出た。
被告は被害者が血の繋がっていない内妻の娘であるため、
性の対象として見ていた、ということであろう。

 
本能のダンス(いざ結審後編)

本能のダンス(証人は語る編2)

続いて、証言台へは2人目の証人が呼ばれる。
被告の母親だ。
その姿を見て、早速涙ぐむ被告。舞台は整った。

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まずは、ゴルフドライバー弁護士からの質問。
「腎臓を患っており、現在週3日透析を受けなければならず、
また▲▲市へ戻って透析を受けることになっているのに、
そんな中、時間を縫ってわざわざ○○○より大阪に出向いたのはなぜですか?」
「まさかと思いよったことを息子がしでかしたので・・・駆けつけました」

「高校卒業まで▲▲市に居て、その時はどんな青年でしたか?」
「人から好かれていて、こういう・・・こんなことをするとは夢にも考えられませんでした」
「これまでに仕事を変えたり、離婚をしたりとあったが、
その度に○○○に連絡はあったのですか?」
「平均年1回程度は帰ってきていました。また電話はしょっちゅうありますし・・・。
最近では夏休みに帰ってきました・・・だから大阪できっちりしていると思っていました」

「現在の(内妻)関係を知っていますよね?」
「はい。本当の家族だと思いました。
仲のいい姿を見て、本当に良かったと思っていました・・・」
「事件を聞いて?」
「TVや映画にあるようなことをわが子がしたかと思うと、
本当に被害者の方には申し訳ない気持ちで一杯です」

「これまでに偏りや異常は見られましたか?」
「いやーないです、全然なかったです。弁護士の先生に話を聞いて・・・」

「何れにしても社会に戻ることになりますが、
○○○での受け入れ態勢として、住むところはご実家になると思いますが、持ち家ですか?」
「はい」

「部屋は?」
「あります」
「仕事は?」
「何とかどこかにお願いをして見つかればと思っています。
そして被害者の方に少しでも償うことができればと思います」

「被告も少し精神的に不安定になっていますが、
実家で引き取って監督をしてくれるのですよね?」
「はい」
「被害者から『引っ越しをせなあかん』と言われ、それでも『お金がない』」と言われましたね?
「はい。それで30万円を振り込みました」
「また被告の荷物を実姉が引き取りにいった時にも20万円を現金で渡しましたね?」
「はい」
「周囲に迷惑を掛けましたが、被告に今後どうして貰いたい?」
「周りの人たちがいい人ばかりで・・・いろいろと面倒を掛けてしまい、
こんなにしてくれたことは本当にありがたいことです。
取り返しのつかないことをしたわけですからきっちりと償ってほしい」

「被告へ何かあれば」
「一所懸命にやっていかなあかんよ」
この言葉を聞いて、被告は嗚咽をはじめるのだった。
片やチェリー検事は「特にありません」とあっさりと引き下がるのだった。

 

 

本能のダンス(いざ結審前編)へ続く