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空いた時間にフラッとプチ傍聴

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車社会という幻想 ~道路交通法違反 Ⅱ~

車社会という幻想 ~道路交通法違反 Ⅱ~

主文、被告を懲役6か月とする、ただしその刑の執行を3年間猶予する。

前回は若い被告の飲酒運転について紹介をしたが、
これから登場する被告は、60歳を超えた結構な年配者であった。
ただこの年配の被告、どこか元気がないのだが・・・一体何があったのか?

被告は、会社を営んでいる。
この事実と被告の様子から直ぐに会社の経営がうまくいっていないのだなと考えた。
まぁ、会社の経営とその人間の状態とが必ずしも直結するわけではないと思うが。
ただ出廷した被告の顔を見れば、経営状態が決して芳しくないことくらいは容易に想像できた。
それほど被告の表情が暗かったのだ。それも悲壮感が漂うほど暗かったのだ。

そんな悲壮感を漂わせる被告が、今回引き起こした事件は無免許運転。
それも1度や2度ではなく、何度も繰り返していた。
免許を取りに行く金もなく、何十年も無免許で乗っていたのかと勝手に妄想するUNICO。
ただ話を聞いているとどうも状況は違うようである。
この被告の場合は、細かい違反をコツコツと積み重ね、免許取り消しに至ったらしい。
更に、今回捕まったのは、免許再取得までの欠格期間を待機しきれず、
しれーっと無免許であることを知りながら運転していて、
信号無視という新たな違反を積み重ねたところを警官に見つかったというのだ。

これは苦しい・・・。
ただ被告には、自分なりの言い分があったようだ。
逮捕後、被告の口からは「(仕事で車を使用しなければいけないのに)欠格期間が長すぎる」
とこぼれてきたらしい。
うーん、確かにそう言えなくもないが・・・何だかねぇ。

今回の量刑の判断として、規範意識の低さと無免許でありながら車を所有し続けることから
窺える常習性が問題点として挙げられていた。
確かに、この被告ならばまたやりかねないかもしれない。
それでも執行猶予付の有罪判決となった。
その減刑酌量として挙げられていたのは、被告が起訴事実を認めていること、
そして、被告の妻が今後このようなことが起きないように被告を監督する旨の申出があったことだった。

もし被告が無職で、単身者であったならば、また違った判決になっていたのだろう。
こうした量刑判断は、法解釈平等の見地から判例の影響を多大に受けている。
前回の若者といい、今回の件といい、厳罰にすれば犯罪抑止につながるとは言い難いが、
どこか釈然としないものを残しながら、UNICOは法廷を後にするのだった。

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