裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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クスリ+窃盗=服役期間は倍増だ!

クスリ+窃盗=服役期間は倍増だ!

坊主頭の被告が入廷してきた。年のころ30歳前といったところだ。
被告は、やや頼りない若手弁護士と目が合うと、少し照れ臭そうな表情で軽く会釈をしてみせた。
この光景を見ると、被告と弁護士との信頼関係が築かれている証であるように思われる。
よくよく見ると傍聴席には、被告の母親らしき人物の姿も見受けられた。

この坊主頭の被告の罪名は、窃盗と覚せい剤取締法違反。
これまでに1度、同じ覚せい剤取締法違反で検挙されて、懲役1年の刑に処されている。
今回の犯行は、出所後およそ2年余りは経過していたが、
新たに窃盗という罪名を増やして、法廷に舞い戻ったわけだ。残念なことである。

被告は、某市内の公衆便所内において、メチルフェニデート等禁止薬物入りの水溶液を注射器で体内に摂取。
そこで気持ち良くなった被告は、そのまま近くにあるタイムズの駐車場へ行き、
駐車中であった被害者所有の車の窓が開いていることに気付く。
すると被告は、迷うことなく車内に侵入し、そこに置いてあった巾着を窃取した。
巾着の中には、6,390円入りのコインケースと電卓他10点の小物、およそ1,000円相当が入っていた。
ほどなく近くに居た警官の職質を受けて、あえなく逮捕されたということだ。

主文、被告を懲役2年2か月に処する。うち未決拘留分30日を刑期に算入する。

前回比200%UPの刑期である。
この量刑判断として、覚せい剤の累犯が認められたということである。
また犯行の悪質さとして、窓が開いている車両を見つけるや迷うことなく犯行に及んでいること、
そして、会社を無断欠勤していることも挙げられていた。
減刑酌量の材料としては、被告が反省文を提出し、今回の犯行について深く反省していること、
窃盗の手口が単純であること、雇用主が出所後「また雇う」と言ってくれていること、
実母が被告の帰りを待っていることなどを勘案して、懲役2年2か月としたとのことだった。

これまで判決の傍聴をして感じることがある。
犯罪の種類は何にせよ、裁判所は再犯可能性の有無を量刑判断の際に重んじる傾向がある。
その要素のひとつとして、出所後すぐに就業できるかどうかが大きなポイントのようだ。
確かに、折角出所しても働くところがなければ、貧困とヒマを持て余すことから、
良からぬ方向に進んでしまうことを危惧する裁判所の考えも頷ける。
加えて、肉親や友人など人の鎖と呼ばれる存在がなければ、
尚のこと再犯可能性が高まると判断するのは致し方のないことである。

「人間は社会的動物である」という言葉を改めて思い出すUNICOであった。

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