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罪を憎んで、人を憎まず!? ~いざ判決の時「窃盗」~

罪を憎んで、人を憎まず!? ~いざ判決の時「窃盗」~

<a href=”http://report.unicowns.asia/?eid=45″ target=”_blank”>前回</a>は、裁判の流れを記事にしたが、UNICOは、裁判の流れで言うと、
いつもは新件を主に傍聴しているのだが、
以前に何か人間臭さを感じる女性裁判官の法廷を見たことがあって、
この裁判官ならどのような判決を下すのだろうかと思ったことがきっかけである。
そうこうしているうちに、スキンヘッドでいかにも悪そうといった感じの被告が入廷する。
スキンヘッドの罪名は、窃盗である。
ほどなく開廷となって、被告が正面の証言台で起立する。
検察は、連日の書類づくりで疲労困憊なのであろう。心ここにあらずといった感じである。

主文 被告を懲役1年8月に処する(うち未決拘留分50日を懲役期間に算入する)

判決理由
とある路上で、所持品であるリュックサックを足元に置いたまま被害者は酔って眠ってしまった。
それを見たスキンヘッドは、被害者の隙を狙ってリュックから財布を抜き、
金額10,832円を抜き取ったのだった。
その様子を運悪く警察官に見られてしまった被告。
すぐに職務質問をされ、慌てた被告は、盗んだ財布を地面に叩きつけて、あえなく現行犯逮捕となったようだ。
取り調べで被告は、
「リュックサックから財布は抜き取っていない」
「被害者のポケットに入れてあった財布が落ちたのを拾っただけ」
などと苦しい言い訳をしたらしく、挙句には、
「犯行当日は雨天で視界が悪かった筈なので、(犯行の様子を見た)刑事が見間違えただけだ」
「自分はやっていない」
を取り調べ中に繰り返し、始終往生際が悪かったことも響いたようだ。
それを真に受けたのか弁護人は、無罪の主張で法廷を進めてしていたようだが、
結果は無念の執行猶予すらつかないガッツリ実刑。

それもそのはず、この往生際の悪いスキンヘッドの前科が大きく響いている。
前は強盗事件を起こしており、このときは4年6月もの実刑に服していたとのこと。
さらによくないことに、今回の事件は、出所後僅か1年余りで犯行・・・。
これは厳しい材料が揃っている。

裁判官は言った。
「刑の減刑酌量の要素として挙げられるものとしては、
窃取したもの(財布)の返還が被害者に済んでいること、
弁済金として5万円を支払っており示談まで済んでいること、
若干だが、被告が若年であることを勘案しての措置である判決を下した」と。
「この判決に対して、不服のある場合は、この公判終了後15日以内に高等裁判所へ
控訴を申し立てることができます」
とお決まりのセリフを被告に告げる。
そしてここから先が裁判官のフリートークの時間である。
「期待に沿えない結果になったと思い、残念だったと思いますが、
服役中に自分の犯した罪についていろいろ考えて、
社会復帰後は二度とこうした犯罪を繰り返さずに、
ぜひ立派な社会人になってください」と。

UNICOはこの裁判官がお気に入りである。

 

(了)

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