裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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うっかりと、ちゃっかりと。(前編)

うっかりと、ちゃっかりと。(前編)

保釈中の被告は、堂々とした態度で法廷に姿を現れた。
傍聴席には、家族か支援者か分からないが、多くの人の姿があった。
どうやらこの被告、それなりに人気があるらしい。
そんな彼を庇護するのは、一見柔和な感じの若い女性弁護人。
迎え撃つ検察は、四十路を超えているであろう不機嫌検事。
違う意味で見応えのありそうな法廷になりそうだ。

被告の罪名は、窃盗。
某量販店でパンを2個、252円相当を盗んだらしい。
明らかに小学生の万引きレベル。
この法廷にかかる費用を考えると、明らかに採算度外視だ。

被告は中学卒業後、鉄筋、型枠工などの職を転々としており、
現在は無職で生活保護を受給している。
年齢が60歳を超えているので、無職でも仕方がないだろう。

被告はこれまでに前科前歴があり、今回と同種の犯罪1犯を含む計8犯。
なかなかの経歴である。
うち1件は傷害罪で懲役5ヶ月、昨年には窃盗罪で罰金20万円を処されたばかりである。
そんな懲りない被告はパチンコ代で金欠となっているところ、
空腹のまま同量販店に入店し、店内を周回しているうちにパンが目に入り、
うっかりと着衣に入れてしまった。それを私服警備員が見逃さなかった。
被告は警備員に声を掛けられると犯行をあっさりと認め、あえなく御用となったらしい。

しかし、ここでUNICOは穿った見方をした。
被告は、この場で抵抗することが後々に響くことをよく心得ていたのだろうと。
ただなぜパン2つを盗っただけの被告が、警察に突き出されたのか。
それになぜ不起訴にならなかったのだろうか。

その答えは、弁護人がわざわざ証人喚問をしていることが物語っているように思われた。
要は、昨年起こした窃盗が累犯となってしまっているのだ。
僅か252円。
されど252円相当の商品をうっかりと盗んでしまったことが
被告にとっては命取りとなってしまうのだ。

 

うっかりと、ちゃっかりと。(中編)へ続く。

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