裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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燃える涙(中編)

燃える涙(中編)

被告人の交際相手に対する証人質問の続き)

「金銭管理は誰がしていますか?」
「付き合いはじめから昨年12月、1月くらいまでは彼が自己管理していましたが、
昨年11月に2人で生活していく上で、彼のお金の使い方などを見ているうちに、
私が管理した方がいいと思い、相談の上そのように決定しました」
一般的に、金銭管理は生活観念のしっかりとしている女性の方がいいとよく耳にする。

「今回万引き、盗みをしていたことに気が付きました?」
「気付きませんでした」
「今回はじめて知りましたか?」
「はい、はじめて知りました」
「知ったきっかけは?」
「警察から連絡があったので」
「その時どんな気持ちでしたか?」
「その時は驚いてどういったことで捕まったのかが分からなかったので、
いったい何があったのかと思いました」
それはそうだ。

「内容は誰から聞きましたか?」
「具体的な内容は面会で本人から聞きました」
「それを聞いてあなたはどう思いましたか?」
「『なぜ』とそう思いました」
まさに裏切られたと思っただろう。

「あなたがローソンへ行ったんですか?」
「直ぐに謝罪に行きました」
この交際相手は優しすぎるところがあるように思われる。

「店の対応はどうでしたか?」
「本人の万引きの態度にお怒りでした」
「あなたが店の人へ何て言ったのですか?」
「酒を飲むと周りが見えなくなるところがあること、甘い考えがあることを伝えました」
「謝罪はしましたか?」
「こんなことになって申し訳ありませんでしたと謝罪しました」
「店の人の反応は?」
「私の気持ちは分かると言って頂けました」
ここまで来ると、彼女ではなく母親である。

「そのあとは?」
「被告が書いた謝罪文を渡したり、いろいろと話して、そして2回目の謝罪文を渡して、
かなり反省している気持ちが伝わりましたと言って下さいました」
「あなたからの嘆願書は?」
「私と彼と生活していくことを考えて、彼は立ち直ろうとしています。
裁判所の方には彼が今後更正していくように努力をしていくつもりですので、ご考慮頂きたく思います」

「今後はどう考えていますか?」
「一緒に生活をして、一緒に働いて、一般的な温かい家庭を作っていきたいと思います」
◇  ◇  ◇
そんな母性たっぷりの交際相手に、次は検察からの証人質問が続く。
「いつから付き合っているのですか?」
「一昨年12月半ば、18日です」
さすが記念日を大事にしたいという女性ならではの習性だ。

「彼が派遣で働きだしたのはいつからですか?」
「12月6日からです」
いや、彼女は少しタイプが違う・・・。

「それまでは何をしていたのですか?」
「いろいろな仕事をしていたと思います」
途端に雑な回答になった。何か隠しているのではないか。

「昨年11月より、あなたが金銭管理をするようになったとありましたが、
それまでの彼のお金の使い方はどんなんだったのですか?」
なかなか鋭い質問だ。

「家賃など支払うべきものは外しますが、残りは小遣いとしてつかい、
月末になるとお金が足りなくなることがあったので、交友費のやりくりが下手だと思いました」
それは金銭管理をされても仕方がない。

これで、検察からの質問が終了となり、
やや呆気なく思ったが、何度のくどくどと質問をするタイプよりはずっといい。

 

燃える涙(中後編)へ続く

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