裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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アルコール 豹変

アルコールという魔物にはご用心!? -傷害-③

同居しており、被告にとって実子である下の娘を抑えて、
あえて嫁いで別居している義子の上の娘が証言するからには
国選30年には何か秘策があるに違いない。
そう期待に胸を膨らませ、上の娘の発言を待っていると、
UNICOの予想を覆す言葉が・・・。
「えっと、中村くんは・・・」
まさかの「君づけ」である。

更に上の娘は続ける。
「中村君は、普段からお酒を飲みますが、全然酔って暴れたということもありませんし・・・」
「私が見る限りは、すごく優しくて、穏やかだし・・・」
とおよそ証拠能力と呼べる発言がなく、
娘の口からは、次々と中村君に対する心証と所感が繰り出されるのだった。

それを見かねたラッキョ検事はすかさず
「あなたは、どれ位の頻度で家に行かれますか?」
と当然の質問で彼女を揺さぶる。
「1カ月に1回くらいですかね」
「それでも私が行ったときは、(被害者とも)和気あいあいとしていて、
そんな行動を取るとは到底考えられません」
と飄々と言ってのける彼女の強心臓ぶりにはただただ頭が下がるのみである。

このやりとりで手ごたえを感じたラッキョ検事は短期決着の勝負に出た。
「この事件を起こす前にも、被告は何回か被害者に酒を飲んで暴力を奮っていたことがあるそうですが、
あなたは、それを知っていましたか?」
致命傷である。これでもはやノックアウト。
のはずであるが、それでも「強心臓」の娘は、
「まさか!! 中村君は普段はすごく穏やかですし、これまでも暴力を奮ったことは見たことがないし・・・」
と所感を述べ続ける始末。

勝負ありである。
残念ながら、因縁の「この道30年対決」は、ラッキョ検事に軍配である。
国選一筋30年という看板は、やはりだてではなかったようだ。

ラッキョは次回公判に被害者を証人として喚問していることを告げて閉廷となったのである。