裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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逆らえません、本能には(後編)

前日の87円窃盗事件の続き。
「いきなり手を抑えつけて来たから私は噛みつきました」
そう言ってのける被告。
それを聞いてうーぱーるーぱー弁護士が被告に質問をする。
「抑えつけてきた女性たちが警察とは?」
「それまで分かりません」
「その時に手錠を見たのではないな?」
「何をしようと思ったの・・・何でって(思いました)」。

これで気を良くしたうーぱーるーぱー弁護士。
「被告は警官が入浴を装っていたことを知らなかったので、
咄嗟に噛みついたというもので、起訴状の②の認識について
争う予定です」と補足説明をはじめるうーぱー弁。
果たして勝機があるのだろうか。

話が長引きそうなことを警戒して、ひとまず淡泊検事に

冒頭陳述を託すこととにする。

淡泊検事が登場。
まるで早口言葉のような冒頭陳述が開始。

被告は56歳。
それ以外のことは警察の取り調べでも
黙秘していたとのことで不明。
これまでに脱衣所での窃盗が1回あるとのこと。
今回の事件の前に●●市において、
浴場で財布が抜かれることが頻発、前から警察は内偵を進めていた。

そして今回。事件前から一般客を装い被告をマークしていたところ、
被告が荷物台を凝視したり、荷物を見たりしていたので、
注意・尾行を強化していた。
すると被告は別の銭湯へと場所を移ったり、銭湯内では脱衣場と銭湯とを
6回程度も行ったり来たりしていた。

その時、被告にとってチャンスがやって来た。
被害者が脱衣所のかごに小銭入れを入れたのを確認した被告。
すぐさま被害者のがこの元へ行き、財布を窃取。
ベビーベッドに財布を隠したところで、
「警察や、分かっているやろ」と言った上で、
警察官が被告の手首をつかんだところ、
被告は足を蹴るなど激しく抵抗、従業員の助けを借りて逮捕に至ったということだ。

この冒頭陳述の内容について、特に反対の意志を示さないうーぱーるーばー弁護士。
これにはさすがに矢印裁判長も焦り「本当にいいんですね」と確認する始末。

追起訴があるとのことで、この日の公判はここで終了となった。
次回公判は6月28日を予定。
(了)

逆らえません、本能には(前編)

女性と男性とを問わず「切れる」大人たち。
その勇姿を目の当たりにしたものは、いつまでも脳裏から離れない。

法廷に現れた被告は、貧相な年配女性だった。
ただその貧相な見た目とは裏腹な事件を起こしていたようだ。
淡泊検事から読み上げられた起訴状の朗読で事件の概要が明らかとなる。

複数の容疑で起訴されている。
①平成25年2月過ぎにゴルフ場横のスパ内の
脱衣場において、ロッカー内に現金87円が入
った小銭入れを盗んだことによるもの。
②①の犯行時に居合わせた警察官が現行犯逮捕
をしようとしたところ、
A巡査46歳の左腕にかみつき加療10日の左
上腕人工創傷を負わせた。
またB巡査29歳の左腕にかみつき加療10日
の左上腕人工創傷を負わせたというものだった。

恐ろしくスケールの小さい事件である。
しかし、僅か87円が入った小銭入れを盗んだ現場を警官2名に抑えられ、
抵抗を試みた被告は、刑法第235条の窃盗罪、刑法第95条1項の公務執行妨害、
そして、刑法第204条の傷害罪で起訴されることとなった。

しかし、今回の被告は意気込みが違った。
淡泊検事が早口で起訴状をまくし上げた内容に対して、争う構えを見せたのだ。

 

 

逆らえません、本能には(後編)へ続く

本能のダンス(完結編)

後日―判決の日。
この日、強制わいせつの裁判傍聴には、多くの人が押し寄せた。
30席程度の席は男性傍聴人で埋め尽くされ、
法廷の外には着席できずに判決を待つ人が数人居るほどだった。
◇  ◇  ◇
UNICOが着席した時には、チェリー検事、ゴルフドライバー弁護士、
そして、ゴルフドライバー弁護士に、
「思いっきりショットをしてくれ」と言わんがばかりの丸刈りを決め込んだ被告が
既にスタンバっていた。
ゴルフボールとしての人生を決め込んだ被告は臨戦モードに入っている。

すると、女性教師タイプの裁判長が一段と厳格な雰囲気を醸し出して入室する。
◇  ◇  ◇
主文、被告を懲役3年6月に処する。ただし未決拘留日数50日をその刑に算入する。

予想以上の重い刑であったため、場内は一瞬ざわついた。
無理もない。これまで被告には前科前歴がなく初犯であったためだ。

 

その判決理由は以下の通り。

①被告の実家(鹿児島にて)
②薬局駐車場にて
③④内妻方
において、わいせつな行為を繰り返したことによるもの。

内妻とは被害者が6歳の時より同居。
平成23年(被害者10歳)より胸部を触る行為がはじまり、以後も顕著な常習性が認められる。
相手は小学生であり、態度は悪用、悪質である。
動機は被告の欲を満たすだけの行為であり、犯情は重い。
また被害者は精神的な苦痛を与えられ、また転校を強いられるなどの不利益を被った。

昨今こうした事件に対する一般予防の意識が高まっているにもかかわらずの犯行でもある。
被告の実母が50万円の慰謝料を検討している。
しかしお金では償えないものがあり、また限度もある。
情状関係としては、被告から反省の弁があり、実母も監督を申し出ているが、
犯情がなにぶん悪質であり、その猶予は無論ないと言わざるを得ない。

悪質な事件なので、厳しい判決ですが、重く受け止めて真人間になってください。
と言葉を添えて、閉廷を迎えるのだった。

こうして、ショットされたゴルフボールは物の見事にOBとなったのだった。
(了)

本能のダンス(求刑編)

そして、女性裁判長からの怒りの被告人質問がはじまった。

「あなたは今回の事件を起こしたのは、かわいかったからだと、
そして性的欲求でもないと言いましたが、それでは何のためにやったのですか?」
「・・・・・・」
下を向き回答に困る被告・・・当然だろう。

「かわいかったからこういうことをするものですか?」
「・・・そうでもありません」
「どうして(理由を)自分の口で言えないの?」
「・・・・・・」
静まり返る法廷、被告にとっては長い時間であろう。

「今回の事件は性的虐待と認識していましたか?」
「虐待とは認識していませんでした」
「暴力や無視と一緒のことをしているとどうして認識できかったのですか?」
「自分のエゴだと思います」
「エゴならやってもいいの?」
「そうしたところが自分の考えの欠点だと思います」
「欠点とは?」
「何でも浅はかに考えて行動するところです」

「被害者が喜んでいるとでも思ったの?」
「思っておりません」
「虐待とは思っていなかったの?」
「恐ろしいことをしました」

「リストカットは虐待の結果です!!!」
「・・・・・・はい」
◇  ◇  ◇
厳しい叱責の時間が終わり、白を切りとおす被告にとって、いよいよ運命の時を迎える。
検察からの求刑だ。

「卑劣かつ大胆で悪質な犯行で情状の余地はありません。また常習性も認められます。
被害者は11歳ということで母を悲しませたくないとの思いから何も言えず、
また被告に対する恐怖心もあった。
また被告には自制心も欠如しており、犯情にも酌量の余地はありません。
求刑ですが、懲役5年を相当と思料します」

片や苦しい状況に追い込まれたゴルフドライバー弁護士。
「魔が差したでは済まないが、可愛さあまってのことで、
被告は被害者が嫌がっていると認識していなかった。
今回のことで猛省を通じ、また事件の深刻さも理解している。
また生涯を通じ謝罪をしていくも言っている。また何があっても接近しないとも誓っている」

「被告には前歴がなく遵法精神はある。
被害者に支払った50万円は慰謝の措置で、今後については書面化する。
証人たちも真っ当になることを期待ているし、被告は死んでお詫びしたいと言いながら、
いちからやり直す気持ちである。
内省していることから、自力で更正できることを切望します。
金銭補償もその方が早くできるとも思料します」

最後に被告からの最終陳述。
「何もありません」

裁判長が「本当にいいのですか」と確認するも、
何も言わない被告。

こうして結審を迎えるのだった。

 
本能のダンス(完結編)へ続く

本能のダンス(いざ結審後編)

ロリコン裁判、いや内妻の娘、当時11歳に対して、
「添い寝」と称して布団に一緒に入り、胸を触る、陰部に指を入れるなどを行った
45歳の内妻の夫、金山一彦似の被告の裁判の続編。

次はチェリー検事による被告人質問だ。

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「供述の中で被害者は嫌がっていないように見えたと言っていますよね?」
「話の流れの中でそう言いました」
「本当に嫌がっているばかりでははない、無理やりではないと思いましたか?」
「そんなことはありません」

「このようなことを継続してしている中で、内妻に見つかるとは思いませんでしたか?」
「何かあったら分かるとは思っていました」
「バレるかもしれないと思いながらも続けていた?」
「はい」
果たして本当にそうだろうか。被告は「絶対にバレない」と考えていた筈だ。

「被害者に対する行為について今はどう考えている?」
「身勝手な考えで、自分だけで勝手に想像して犯した罪だと思いました」

「可愛さあまりに膣内へ指を入れますか?」
「いきすぎました」
「性欲を満たそうとしただけではないのですか?」
「そうではありません」
「被害者や内妻に対してこの行為はどうですか?」
「裏切りをしたと思っています」
「内妻と寄りを戻したいですか?」
「それはありません」
「それではなぜ反省文の中に『まだ内妻のことを好きだ』と書いたのですか?」
「一緒に居たころが幸せだったということを伝えたかった」

「供述の中で、被害者の口に舌を入れたことを入れていないと嘘を吐いていましたね?」
「はい」
「被害者が現在リストカットをするようになって、
カウンセリングへ行っていることを知っていますか?」
「私がやった行為がどれだけ傷つけたのかと思うと、
とてつもないことをしたという気持ちで一杯です」

生々しい内容だった。これはかなり裁判官の心証は良くない筈・・・
と思い裁判官の顔を見ると、怒りに満ち満ちた表情で被告を睨んでいる。

そして、求刑かと思いきや・・・潔癖そうな女性裁判官からの質問がはじまった。

 
本能のダンス(求刑編)に続く