裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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酒気帯び 判決

今、会いに行きます(判決編)

原付の酒気帯びをしたために、ノックアウトをさせられた被告。
さぁ、求刑だ。

+ + +

「0.4mgと比較的高濃度のアルコールが検出される状態で原付を運転し、
運転をした理由も緊急性はない。また酒気帯び運転は社会的問題にもなっており、
決して許される行為ではない。
また2年6か月前にも同種の犯行で罰金刑に処されるなど交通規範意識全般が相当に薄れている。
懲役4か月が相当と思料します」
今度は罰金では済まなさそうだ。

そしてやる気のない弁護人。
「本人も二度としないと言っているので、今回は執行猶予を希望します」
とシンプルな陳述。ここまで来るとやる気のないのも本物だ。

最大の見せ場、被告人の最終陳述だが、
「反省しています・・・以上です」
とやる気のない弁護人の影響をもろに受けているようだ。
これは厳しい結果になるのか。
+ + +
程なく説教好き裁判長から判決が下される。
主文、被告人を懲役4か月に処する。ただしその刑の執行を3年間猶予する。
また国選弁護料は国庫負担とする。
判決理由としては、軽はずみだが酒気帯び運転は社会的な課題である。
こうしたことを続けているとまたいつ事故を起こすかも分からない。
今回は幸い事故もなく、また本人も反省していることを考慮して、
罰金なしの執行猶予つきの判決としました。
「さすがに今回で懲りたと思います。
今後は真面目に過ごし、二度と同じ立場でここに来ないようにしてください」

こうして閉廷を迎えるのだった。
+ + +
たかが原付の酒気帯び運転・・・と思って軽はずみに運転をしてしまった被告。
そんな被告に対して、実刑こそ免れたかついに前科がつくこととなった。
前科がつくということは、つつがなく日常を過ごしていれば通常は有り得ないことだ。
この30歳と比較的若い被告は、残りの人生を「車なし」「前科者」として過ごすこととなるのだ。
これはUNICOにとっては、ショッキングな事実であった。

それにしても、今回の国選弁護人は何も機能していないように見えたが・・・。
過去の判例に従うとは言っても、何か違う手はなかったのだろうか?
そう感じるUNICOであった。
(了)

今、会いに行きます(後編)

検察官から追い込まれ、戦意喪失気味の被告。
そんな被告に対し、更なる試練が襲い掛かる。
満を持して、説教好き裁判長からの質問だ。

+ + +

「この10年以内に3回罰金になっていますね、これまでに合計で44万円を支払っていますよね。
これは自分で支払ったの?」
「半分は親戚に借りました」
手厳しい質問だ。そして更に説教好きからの質問攻撃は続く。

「返せたの?」
「あと5万円・・・残っている」
「痛い目にあっていまよね?」
「はい」
「それでまた何でやろうと思ってしまうの?」
「酒で気が緩んでいた・・・何で乗ってしまったのか、今は反省しています」
「これまでに3回捕まって、罰金まで払っている。それでもこれまでは勾留はされていない。
日頃シラフな時に分かっていればしないはずですよね。それは言い訳ですね。
大したことはないと思っていたんじゃないよね?」
「はい」
もはや防戦一途の被告。そんな被告に対して、まだまだ裁判長からの説教交じりの質問は続く。

「今回はワインまで飲んでいる。ワインを飲んだら酔うことは分かるよね?
それに飲んで直ぐだったし、いくらなんでもそれは無理だと思いますよ」
「はい」
「0.4mgは多い方だと思います? 少ない方だと思います?」
「多分多い方だと思います」
「分かっていますよね・・・この時は相当フラフラしていたはずだよね。
気持ちよくてほーっとしてたんじゃない?」
「多分」
「その状態は危ないよね。保障はできないでしょ?」
「できません」
「今回誰にも迷惑が掛からなかったのは偶々なかっただけで、
社会的に酒帯び運転はかなり問題になっていることは知っていますよね?」
「はい」
「それで事故を起こしていたらTVやニュースの範囲になりますよ」
「はい」
「彼女からTELが掛かってきた時に返せと言われたの?」
「いいえ、原付は『いつか返して』と言われていただけです」
「TELの時に酒を飲んだので彼女に来て貰うこともできたんじゃない?」
「はい」
なすすべなし。

「いつから仕事をしていないの? 将来の目途は立っているの?」
「今度同級生が会社をおこすのでそこで雇ってもらうことにはなっています」
「どんな仕事をやるの?」
「ペンキ屋・・・塗装業です」
「塗装の仕事も結構つらい、難しい仕事だと思いますが本当に大丈夫なの?」
「大丈夫です」
「まぁ、そこで厳しさを教えて貰えるかもしれないが、それをいい加減にやると、
今日みたいに必ず罰を受けることになるのでそのことを十分に学んで貰いますね」
「はい」
こうして被告は晴れて解放されたのだった。

 

今、会いに行きます(判決編)へ続く