裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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性犯罪

本能のダンス(証人は語る編)

内妻の娘、当時11歳に対して、
「添い寝」と称して布団に一緒に入り、胸を触る、陰部に指を入れるなどを行った
45歳の内妻の夫、金山一彦似の被告。
そんなどうしようもない男に対して、2人の証人が立ち上がったのだった。

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まず1人目は、被告が逮捕前に勤めていた会社社長が出廷。
証人が経営する会社はコピー機などの精密機器を扱っており、
従業員はおよそ100名程度の規模だ。
被告の勤続年数は12年6か月。この逮捕を受けて依願退職扱いとなっている。

まずはゴルフドライバー弁護士からの質問。
「仕事ぶりはいかがでしたか?」
「何年も休まず勤務しており、それでも不平不満もなく、また礼儀正しく真面目でした。
また仕事時間中は無口でしたが、休み時間には友人と話すなどもしていたので、
切り替えのできる好人物でした」

「余暇として社長とゴルフに行っていたのですね?」
「やっていました」
「目をかけていたのですね?」
「はい」
「ゴルフ場での振る舞いは如何でしたか?」
「ゴルフは人間性が出ますが、その時に目上の者や目下の者はいなかったが、
(自分に対して)言葉遣いや礼儀は今の青年には珍しくきっちりとしていました」

「今回の事件を聞いてどうでしたか?」
「事件の内容は決して許される中身ではありません。
ただ平素を見ているので、きっと立て直してくれると思っています。
また社会的な責任を果たした後は社会復帰をしてほしいと思っています」

「接見、傍聴、証言と来ていただいていますが?」
「本意としては未だに信じられない。今も不思議な気持ちです。
ただ立ち直ってほしい。決して許されないことをしていますが、
四方を塞ぐことなく、一縷の望みをあげて頂きたい」

「依願退職扱いにしてくださり、
健康保険と退職金100万円程度を支払っておられますね?」
「はい」
「他の従業員への影響と言いますか、甘いという意見はありませんでしたか?」
「彼の社会的責任を果たすことは勿論、ここからが茨の道だと思う。
心底反省している状況も読めたので、就業規則から照らすと少しはみ出るが、
立ち直りを期待しての措置です」

「復帰後は単身生活ではなく、実家に戻ると言っているが」
「今後は一層茨の道だと思うが乗り越えてほしい」
「被告は社会でやっていけそうですか?」
「精神的に苦痛だと思うが早く社会復帰してほしい」

「本人への激励を」
「こういう形であなたと対面するとは思わなかった。
責任を果たして、きちんと社会的な制裁を受けて社会に貢献して立ち直ってほしい」
・・・寛容な会社であったようだ。

そして、次にチェリー検事からの質問。
「今後は雇うつもりはありますか?」
「線引きとしてそれはありません」
「今後被告人に対してフォローは?」
「今までのことで精一杯です」
非常に手短であったが、的を射た的確な質問である。

 
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本能のダンス(追起訴編)

後日、追起訴の公判。

チェリー検事から追起訴の内容が読み上げられる。
内妻の娘に対して、
①H24年8月12日より4日程度の期間、被告の実家がある鹿児島へ帰省した際に、
着衣に手を入れて乳房を揉む、陰部に直接手で触り、膣内に指を挿入するなどして弄んだ。

②近くのドラッグストアの駐車場において、
内妻がドラッグストアに買い物に行っている隙を狙って、
自動車内で着衣に手を入れて乳房を揉む、陰部に直接手で触り、
膣内に指を挿入するなどして弄んだ。

③内妻宅であり、被告と被害者の居住地において、
内妻が横の部屋で寝ている隙を狙って、着衣に手を入れて乳房を揉む、
陰部に直接手で触り、膣内に指を挿入するなどして弄んだ。

しかも③においては、少なくとも100回以上も行為に及んでいたらしい。
被告は供述調書の中で、
①について。
「内妻が傍で眠っていたため、見つかったらどうしようかと思ったが、
スリルがあってドキドキした」と述べていたとのこと。

②について。
「短パンの上から下半身を触り、おっぱいを触らせてと言ったが断られてしまったが、
車中であり通行人の目は気になったが、欲求を抑えられなかった」

③について。
「被害者の口にキスをして、そのまま舌を入れたことで性的に興奮した」
と述べていたらしい。
◇  ◇  ◇
チェリー検事が言っている内容を必死な顔でノートに記述するUNICO。
そんなUNICOに対して、先ほどから独り言を言い続けたいた横に座る人物から、
思いがけないお言葉を賜ることとなった。
「何を書いているねん、気持ち悪いな~」
そう言い残して傍聴席から出て行く横の人物。

確かにおっしゃる通りだ。
そして、晴れてUNICOも変態の仲間入りを果たすこととなったのだった。

 
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本能のダンス(前編)

強制わいせつ裁判の続編。

被告は気の弱そうな金山一彦が証言台へと呼ばれる。
もう既に半泣きである。

身元確認が行われる。被告は現在45歳らしい。
見た感じから年齢相応といったところか。

続いて、チェリー検事から起訴状の朗読がはじまる。
事件の性質上、公判前に被害者の氏名、住所を秘匿することが決定していることが告げられる。

内妻の娘当時11歳に対して、平成24年10月に被害者自宅内において、
被害者の着衣に手を入れて、乳房を触り、膣内に指を入れるなどのわいせつな行為を取ったとのことらしい。

この短い起訴状の中には非常に凝縮された濃いものがある。
被告が欲望を傾けた相手は内妻ではなく、11歳の被害者と底知れない闇が広がっている。

この起訴状に対し、被告、ドライバー弁護士ともに犯行を認めたことにより、
裁判はチェリー検事からの冒頭陳述へと進むこととなる。
◇  ◇  ◇
被告は鹿児島県出生。
高校卒業後に机を作る会社へ就職する。
離婚歴は1回。
前科としては、業務上過失で1回起訴されている。
今回の起訴を受けて、会社は解雇となっており、無職の身だ。

事件の経緯
平成19年に当時39歳だった内妻と知り合い、そのまま内妻の家で暮らすこととなった被告。
それからほどなくしてその毒牙が内妻の娘へと襲い掛かる。

内妻が居間でテレビをしている隙を見計らって、娘11歳の元へ行き、
「添い寝」と称して布団に一緒に入り、胸を触る、陰部に指を入れるなどを行ったらしい。

こうした行為は平成23年4月過ぎより、性的欲求を抑えきれなくなった被告が
「ママには内緒な」と言って胸を触ったことに端を発する。
その後被害者が内妻に言わなかったことに味をしめて、
週3、4回のハイペースで胸を触るなどの行為を1年程度繰り返したようだ。

そして、徐々に欲望がエスカレートしはじめる。
平成24年春ごろからは、陰部を触る行為もメニューに追加。
被害者は後に「このことを母に言うと母が悲しむと思い黙っていた」とのこと。
しかし徐々に堪え切れなくなり、友人数名に相談。
友人から「警察へ行って相談したらいいのでは」との助言を受けて、
友人と共に警察へ相談に行ったことから今回の事件が発覚したとのこと。

被告の逮捕後、内妻は
「全く気付いていなかったが、娘のことを考えるとこれまでの学校に行かせられない。
この年で引っ越しをしないといけないことが可哀そう」
「今後このような行為を受けた娘の心身にどう影響するかが気がかりであり、
もう被告とは二度と会いたくありません。
実の娘がこんなことをされて絶対に許すわけにはいかない、被告には厳重な処分を望む」
との話していたらしい。

一方被害者は、以前から被告のことを「パピー」と呼んで慕っていたが、
「パピーにいやなことをされたが、このことを言うとママが悲しむと思い言えなかった」
「パピーのことは嫌い、パピーのことをこらしめてほしい、パピーは刑務所に行って欲しい」
と話していたとのことだった。

絶望的な内容である。
◇  ◇  ◇
この裁判の前日に追起訴が決定した。
追起訴の内容についても被告側は争いがないとのこと。
追起訴の公判は次回に持ち越しとなった。
その時に弁護側より親族1名、会社関係者1名が情状証明に来る予定らしい。

 

 

本能のダンス(追起訴編)へ続く

本能のダンス(序編)

早速入口に備え付けてある開廷表で裁判内容を確認する。
窃盗、覚せい剤取締法違反といった罪名での裁判が目立つ。

そこに・・・強制わいせつの文字があった。
以前に一度だけ強制わいせつ未遂罪というものを傍聴したが、
この罪名のものはなかなかお目に掛かれない。
迷うことなく強制わいせつの裁判が行われる法廷へと向かう。

ここで強制わいせつ罪について確認をしておこう。
【強制わいせつ】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、
6ヶ月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする(刑法第176条)。
本罪は性別を問わず成立する(刑法第177条の場合と異なる)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

要は、双方の同意がない関係性において、一方が己の性的感情(興奮)を満たすために、
取った(キスや身体接触などの)わいせつな行為といったところだろう。
◆  ◆  ◆

 

法廷に入ると、狭い傍聴席は賑わいを見せており、空席が殆どなかった。
そして着席して、検察と弁護士を見る。
検察は、典型的な公務員顔したチェリー検事。久しぶりだ。
一方弁護士は、ゴルフドライバーといった感じのオヤジ弁護士だった。

間もなくわいせつ男が入廷する。
わいせつ男はマニアックそうな顔をしている筈だ。
しかし意外や意外、法廷に現れたのは何とも気の弱そうな金山一彦といったところだ。

そして、バッサリ女教師判事が入廷し、いよいよ強制わいせつの公判がはじまった。

 

 

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いざ判決の時 ~児童買春他~

罪名及び罰条
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反。
その法廷刑は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処される。
彫の深い顔に細い目の被告は、傍聴席からぬーっと現れる。
意外に似合うスーツ姿だ。
年の頃は、30代半ばといったところか。

被告は、H23年7月25日、当時14歳の被害者を被告の自宅に連れ込み、
7,000円を渡す約束をして、口淫をさせ、性交類似行為をしたことより逮捕に至った。

ミス・ジャポネーゼの裁判長から判決が言い渡される。

 

***主文

被告を懲役1年6月に処する。
但しその刑の執行を3年間猶予する。

判決理由として、その未熟さに付け込んで児童買春をしたことは悪質である。
情状理由に挙げていた、深夜勤務のストレスがあったとあるが、それは認められない。
ただ事実を認めていること、妻が情状証人として出廷し、
今後被告の監督をすることを申し出ていることを考慮した。

ただ同種前歴1犯あり、前回は罰金刑となったが、
過去にも援助交際をしていたことがあるなどその再犯可能性は決してないとは言い切れないが、
前刑がないことにより、今回に限り執行猶予を相当とした。
* * *
深夜勤務をしていたストレスかぁ・・・。
恐ろしく幼い理由である。

そんな被告は結婚していた。
子どもは居たのだろうか。
何よりも、妻が被告に愛想を尽かさずに、
未だ寄り添うと言っていることが、執行猶予が付いた最大の理由であろう。
それにしても妻は、よほど寛大な人か共依存になっているのかのどちらかであろう。
ただ性犯罪は再犯性が高いと言われている。

被告の緊張感のない顔を見ると、もう二度としないといった固い決意を感じられなかったが・・・。
(了)