裁判傍聴 ブログ 「ドラマよりもドキュメンタリー」

空いた時間にフラッとプチ傍聴

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覚せい剤など不法薬物

クスリを使用した代償~覚せい剤取締法違反 判決~

禁止薬物の使用の恐ろしさについては、今更といった感じではあるが、
それでもこうしたものに手を染めるものの後は絶たない。
寧ろ年々増加傾向にあり、また低年齢化が問題となっている。

今回起訴された被告は34歳女性。決して若い部類に属する年齢ではない。
またこの被告には、まだまだ手のかかる子どもが居る。
子どもの存在をもってしても、抑止力が働かなかった。

これまでに被告は、3年前にも1度逮捕起訴されている。
この時の判決は、執行猶予付きだった。
そして今回もまた除外事由もなく、メチルフェニデート等禁止薬物入りの水溶液を
注射器で体内に摂取してしまったのだ。

主文、懲役1年6か月(うち未決拘留分40日を算入する)。

今回は、執行猶予が付かなかった。結果的に前回の判断は正しくなかったためだ。
量刑理由も、薬物依存性が認められること、職業、住所ともに不定であること、
被告が普段付き合っている周囲も不良と判断され、
結果社会内更正が難しく、施設内更正が相当と判断されたためである。

減刑の酌量として、反省の態度が認められること、3年程度は薬物との親和性がなかったこと、
そして、2度とやらないと誓っていることを考慮したとのこと。

被告が、投獄されている間、子どもは恐らく施設に行くことになる。
いろいろな考えはあろうが、この期間は子どもにとってかなり長く、辛い時間となると思う。
被告もその位のことは分かっていたはずだ。
だからこそ、3年余りの期間であったが堪えることができたのだ。
しかし、クスリの誘惑には勝てず、また使ってしまったのだ。
果たして被告の意志が弱いだけだろうか。

UNICOはこう考える。
薬物そのものの依存性の強さ、
そして「自分ならば大丈夫、直ぐに止めれられる」と己を過信した結果に違いないと。

切っても切れない腐れ縁~覚せい剤取締法違反~Ⅲ

(前回までのあらすじ)
暇になると覚せい剤を打ちたくなるという訳の分からない論理で、
何度も捕まって、出てきては捕まることを繰り返すどうしようもない被告に対して、
アズミ弁護士の繰り出した一手は、2名の証人喚問。
うち1名の証人喚問は、友情を熱く訴え、
次の行先まで、手伝うことを約束した元同僚の証人。
ここまでは狙いどおり。
次に控えるのは被告の父。
弁護人にとっては、いよいよ最後の仕上げだ。

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証言に立つ父親は、恐らく70歳をゆうに超えている。
この姿を確認するなり、既に被告は涙ぐんでいる。
なかなかの演出である。

ただこの父親の証人喚問は、どうかと思う内容であった。
というのも、前回の法廷でも証人として登場していたらしく、
その時も「今後の金銭管理は自分たちが行う」とか、
「ダルクに入ることを促す」「暇にならないように被告の行動管理は自分たちがする」
との証言をしたらしい・・・。
しかし、その結果があえなく半年での再犯であったわけだ。
その矛盾をラッキョが見逃すはずもなく、
「前回も金銭管理をするとおっしゃっていましたが、
なぜ、また覚せい剤を買いに行けたのですか」
「ダルクには結局行かなかったのですね、それなのになぜ今回は行けるのですか」
「すべての行動管理をご両親ができるのですか」
ときっちり矛盾点を突き、しどろもどろになる父親。
アズミくんもその様子を見て、若干顔が白くなっているような・・・。

そして、ラッキョからの論告求刑は、
「上記の理由から再犯の可能性が非常に高く、社会内更正は難しいと考えられるため、
懲役1年半の実刑を求刑します」であった。
・・・確かに。

そんなことを全く気に掛けない本人の最終陳述がはじまる。
「同僚や父親に迷惑を掛けて、本当に申し訳ないと思います」
と言いながら、絶妙なタイミングで涙を流す被告。
これ以上ない素晴らしい演出である。そして、
「今度こそダルクに行って、周囲の期待を裏切らないように、
覚せい剤とはきっぱり縁を切ります」と涙ながらに新たな決意を滲ませていたが。

どうもUNICO裁判官には、被告の訴えが響かなかった。

切っても切れない腐れ縁~覚せい剤取締法違反~Ⅱ

(前回までのあらすじ)
休みが続き、暇を持て余した北尾似の被告。
フラフラと繁華街へ行き、そのまま覚せい剤を購入。
近くのパチンコ屋で注射したあとあえなく逮捕。
これまでも同様のことを繰り返し、前科8犯ときている。
さぁ、どうする若者弁護士!

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若者の弁護士が打った手は、情状酌量に訴えかけるものであった。
そして弁護側からは、2名の証人喚問を行っていた。
1人目は、前職(塗装業)の同僚が証言台へ。
弁護人との打ち合わせが功を奏して、
予定通りの質問を繰り出す弁護人の質問に対して、
「彼と一緒に働くのは、本当に楽しくて」
「何か彼と一緒に居ていると楽しいんですよね」
「また彼とは一緒に働きたいと考えているので、自分からも社長にお願いする」
「1人になるとまたやってしまうといったことがないように、
休みの日は彼がひとりにならないように誘うようにする」
など、被告の好人物ぶり、友情をアピール。
さらに出所後の職についての不安をそれとなく回避している。
そして、この事件の不思議な争点となっている余暇の過ごし方について、
対処法まで準備し、それをさも熱っぽく語る元同僚の証人。
なかなかの役者である。

ここまでは「アズミ」と語る若い弁護人の狙い通りであろう。
このアズミという名は、弁護人から証人に向けた質問の度に、
毎回名乗っていたため、嫌でも覚えてしまったが、弁護の宣伝か?

次に証言台にあがるのが、被告の父親であった。
アズミくんは、これで仕上げに入るつもりだ。
切っても切れない腐れ縁~覚せい剤取締法違反~Ⅲへ続く

切っても切れない腐れ縁~覚せい剤取締法違反~

どのような裁判の傍聴をするのかを決めるのは、当日まで分からない。
以前にも紹介したが、裁判所の入口に備え付けている開廷表で罪名を見て決めるためだ。
その中で意外にも多く目に飛び込んでくる罪名が「覚せい剤」なのである。
はじめはこの事実にUNICOは戸惑った。
勝手な思い込みだが、覚せい剤と言えば、=ヤクザの専売特許を連想してしまうためだ。
それなのに一市民が使用するなんて・・・時代が変わったと言えばそれまでかもしれないが、
それはそれは薄ら寒い思いをしたことだった。
それでは、一体どんな人たちが、覚せい剤に手を染めるのだろうか?
興味本位で、法廷に飛び込んでみる。

開廷前にも関わらず、以前登場したラッキョ検事と若い弁護人が既に準備をしている。
この法廷の裁判長は、安定感抜群のコナン裁判長だ。
傍聴席を見渡すと、被告の関係者らしき人たちの姿を見ることもできる。
このことは、被告が未だ世捨て人ではないということを物語っている。

そこへ被告が姿を現した。
被告の顔にどこか見覚えが・・・。
それもそのはず、一時は横綱にまで登りつめ、
その後相撲界を廃業し、プロレスラーに転身した<a href=”http://www.google.co.jp/imgres?q=%E5%8A%9B%E5%A3%AB+%E5%8C%97%E5%B0%BE&um=1&hl=ja&sa=N&tbo=d&biw=1366&bih=653&tbm=isch&tbnid=eZRdYvJD-xAspM:&imgrefurl=http://sumodb.sumogames.de/Rikishi.aspx%3Fr%3D4136%26l%3Dj&docid=0JwumbDY71yggM&imgurl=http://sumodb.sumogames.de/pics/4136.jpg&w=360&h=480&ei=OzLBUMuMDsrwmAXm6YF4&zoom=1&iact=hc&vpx=844&vpy=246&dur=1532&hovh=259&hovw=194&tx=76&ty=124&sig=102105866960089344141&page=1&tbnh=130&tbnw=98&start=0&ndsp=34&ved=1t:429,r:31,s:0,i:179″ target=”_blank”>北尾</a>に似ていたためだ。

役者は出揃った。
さぁ、ラッキョ検事の出番だ。

起訴状の朗読と冒頭陳述の内容によると、
被告は前科8犯。うち初犯は強制わいせつ罪に問われたことがある以外はすべて禁止薬物使用によるもの。
今回で堂々の9回目の立件。なかなかの経歴である。
そして今回は前回の出所からわずか半年後で再びこの法廷に姿を現したわけだ。
そんな被告ならば、仕事にもなかなか就けないだろうと勝手に想像していたが、
意外や意外、前回の出所後一時的にではあるが塗装業に勤めていたらしい。
しかし、残念なことに僅か3か月で離職に至ったようだ。
仕事を選んでいられる身分ではないはずだ。
それなのになぜ、という質問に対する回答は一層なぞの深まるものであった。

一般的に塗装業は外の仕事、雨になると休みになるらしい。
結構な話ではないか。
ただ今回の犯行は、その雨が原因であったとのこと。
一体雨とクスリとに何の繋がりがあるというのか?

被告が取り調べ中に語った犯行動機というのが、
梅雨の影響で雨が3日続き、休みが続いた。
そこで暇を持て余した被告は、ふらふら~っと足の向くまま、気の向くまま、
繁華街に出かけてしまう。
あとは、お決まりのパターン。
クスリを買い慣れた場所へ行き、しれーっと覚せい剤を購入する。
目の前にある覚せい剤を打ちたい欲求を抑えきれなくなった被告は、
近くのパチンコ屋へ立ち寄り、そして個室トイレで注射する・・・。
そして、恐らくマークしていた警察がすかさず現行犯逮捕に踏み切る・・・。
何とも嘆かわしい・・・。
切っても切れない腐れ縁~覚せい剤取締法違反~②へ続く